18禁ヘテロ恋愛短編集「色逢い色華」

結局は俗物( ◠‿◠ )

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雨と無知と蜜と罰と 弟双子/気紛れ弟/クール弟

雨と無知と蜜と罰と 28

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 加霞かすみは振り返ることができなかった。
「許してくれないなら死ぬ!」
 彼はここが病室であることも知らない様子で吠えた。反響する。突然の大声にぎくりと肩が跳ねた。
「死んでやる!」
 そこから赤い花の活けられた、おそらく薔薇の挿してある花瓶が投げ付けられるまではそう間を置かなかった。怒声の次は陶器の割れる甲高い音である。破片が飛び散る。加霞は身を竦めた。
「死ぬ!殺せ!許してくれないなら死ぬ!」
 目が合った。途端に騒いでいた患者は急に静かになった。驚嘆したような青白い顔をして静止したのだ。許しを強いた相手の怯えきった表情を認めたに違いない。彼はベッドサイドにあった未開栓のペットボトルを呑気に開けたかと思うと、急に頭から被りはじめた。あまりの奇行に震え上がる。そのうち、雄叫びと物音を聞いたらしい看護師たちがやって来た。
「殺せ!死ぬ!俺を殺せ!死なせろ!―」
 加霞は病室を後にする。エレベーターから降りたところで雫恋と鉢合わせた。何も知らないあの患者の双子の弟は弛んだ面構えでやって来る。女装用としか言いようのない縦巻きロールのかつらはそのままだったがサングラスを取り、濃いグレーのウレタンマスクを代わりにつけていたが、それを顎下まで捲っていたのだから変装の意味がない。
 加霞は彼を押し退けた。
「は?帰る気?ここまで来て」
「もう会ってきた。あとは自分の目で確かめて」
「ああ、ぽっくり逝った?ご愁傷様です。冥福を祈るわ、ほんと。あの世から姉貴見下ろしてシコってるよ。ああ、見上げてるのか。どうせ地獄行きだろ。ろくなやつじゃなかったもんな」
「黙りなさい」
 彼女はもう一度雫恋の胸元を突き飛ばすように叩いた。
「このまま帰すわけないだろ。帰れると思った?おめでた過ぎでしょ」
 雫恋の手は乱暴に姉の腕を引いた。
「葬式は出られないからよろしく。これでもケツカッチンのかっちかちなんだわ。多分母さんも出ないよ。あの人は仕事命だからね。久城さん宅はどうなんだかな」
「まだ死んでないでしょう。どうして……」
「人はいつか死ぬし突拍子もなく死ぬことだってあるだろ。縁起悪い?人の死はそんなのいちいち忖度しないよ。現実みろよ。言霊思想も縁起もクソもくだらない。現実問題、今酒1缶でも飲ませたら死ぬような状態なんじゃないの、あいつ」
「雫恋ちゃん。ここは病院なんだよ。お医者さんだって霙恋ちゃんのこと治そうとして……」
 鼻で嗤われた。先程のキ印とそう変わらない眼差しである。造形だけの問題ではない。
「おめでたいよね、そういうところ、馬鹿で愚かでほんと好きだよ。患者に死なれたら病院が困るんだろ。医者様先生だって、もらうものもらってやってるんだ。なにも善意じゃない。何を尊んでるの?頭脳?社会的地位?姉貴って、あの芋教師といい、知性派な職業に弱い?それなら俺もアイドルになんかならないで、そのまま薬学部行けばよかったな。そうしたら認めてくれたわけ?」
「何になろうが、あんたなんか認めるもんですか。最低。何でもかんでも馬鹿にして。どういうつもり」
「その中身のない上っ面の建前みたいな正しさを信じてるところが好きだな。愚かで素敵だよ」
 彼はまた鼻を鳴らし、陰険に嗤っている。
「強情でよろしいな、姉さん。今後は俺が一人二役で可愛がってやる。後悔しろ。俺たちを散々コケにして、蔑ろにして、無視してバカにしてきたこと」
 姉を振り回すように、そして引き摺るようにロビーを抜け駐車場へ出る。雫恋はその間無言だった。車に放り込まれる。
「俺のちんぽ代わりに飴でも舐めていろ」
 雫恋なのかあの気の触れた患者なのか分からなくなった珍奇な服装の男は姉を車に押し込むと棒付きキャンディーの包紙を剥いてその口に放り込んだ。
「い、や!要らない……!」
「舐めろ」
 舌で押し返す。すると棒を摘まれ、大きめな球体が歯にぶつかってカチカチと音がした。気の抜けたソーダの味が口に広がる。
「舐めろ」
 顎を取られ、まるで子供に歯磨きをさせているようだった。口腔の奥まで飴玉を突っ込まれる。
「ぁ…………ひ、っ」
「舐めろ、舐めろよ。舐めろ、ほら」
 舌を繰られ、その上で擦られた。爛々とした目に蔑まれている。声音は低く、雫恋ではないみたいだった。
「霙恋ちゃ………」
「そう。霙恋だ。姉さんが殺した霙恋だ。後悔して生きろ。俺を選ばなかった時点で、姉さんには後悔しか残されてないんだからな」
 棒キャンディーが口内を激しく出入りする。
「従え。俺と姉さんの間には、余計なものが多過ぎる。俺は姉さんの幸せをぶち壊す手段を知っているが、その手段をとらない。何故かと言えば、姉さんが俺みたいにフライアウェイといわず、自殺したら困るからだ。俺は姉さんに狂わされて自殺したのにな」
「や、め……っ、」
「やめない」
 彼はとうとう後部座席に乗り込み、ドアを閉めてしまった。加霞はまだ逃げようとする。しかし変装したまま片割れを演じる弟はその身体を抱き寄せた。棒付きキャンディが引き抜かれたかと思うと飴玉の溶けかかる口を塞がれる。
「ぁ……っう、……んっ、」
 前戯のない深い舌の挿入に加霞の身体は小さく震えた。後退しようにもその余地はない。窓ガラスに後頭部をぶつけ、やがて擦り付けながら滑り落ちる。だが熱い舌はわずかな隙間も許さなかった。ソーダ味の広がって温くなった口腔を舐め尽くされる。舌の質感が摩擦し、柔らかな根元まで突つき、そこに居座ろうとした。
「ん………やぁ、」
 拒もうとする手を引き剥がし、彼は姉の口内を蹂躙する。好き放題に荒らした。場所は病院の一般駐車場である。
 掻き回され旋風するように巻かれ、他者と、そして自身の舌の感触を叩き込まれる。息苦しさと陶酔に彼女は微睡みに引き込まれかけていた。
「ぁ………ふ、っぅ………んん……」
 異様な身形の男の腕に身体を預ける。すでに身を守るだけの力は入らなかった。それに満足したらしい病院に相応しくない風態ふうていの男は彼女を放す。加霞の目は蕩け、後部座席で横になったままだった。
 我に帰ったときには車が出ていた。インナーハンドルを捻る。滑らかな感触は、機能が無効になっている。
「雫恋ちゃん……」
「あ、俺が雫恋だって分かる?姉貴のくせに、利口じゃん」
「どこに行くの……?」
「霙恋があの日に予約入れてたホテル」
 彼はもったいぶることもなく答えた。
「どうして、そんなところに連れて行くの」
 霙恋の予約していたホテルなどとは不気味な響きだ。
「人殺しの姉貴に分からせてあげなきゃだろ。姉貴は霙恋を殺したってこと、ちゃんと理解してる?姉貴は人殺しなんだよ。十字架を背負ってるわけ。あれ?姉貴はクリスチャンじゃないか。人を自殺に追い込める人がクリスチャンなわけないよな。どっちかって言ったら悪魔だろ。それか今世紀最大のユダ。姉貴は墓石背負ってんの。墓石を。弟殺し!そのうち嵐恋のことも殺すんだろうな。悪女だよ。八神の血が気に入らないんだな」
 雫恋の趣味が始まった。ウィンカーはあったけれども急激な左折に加霞は遠心力によって転びかける。シートベルトをつけていなかった。
「危ないよ」
「姉貴の傍にいるほど危なくないさ。まるでカマキリだよ、姉貴は。近付く男をみんな食い散らかして殺すんだろ」
「……恨んでるの?霙恋ちゃんのこと、止められなかったの……………」
 興奮して饒舌になっている。それは果たして喜悦だけなのだろか。
「は?恨むわけないでしょ。姉貴さ、誤解してない?俺は極悪人の姉貴が大好きだよ。サイコパスの殺人狂の姉貴が。誇りに思ってる。素敵すぎるだろ。姉貴……俺は霙恋が憎い。姉貴にぶち殺されるだなんて、羨まし過ぎる。頭蓋骨をかち割るその瞬間まで、姉貴のことを考えただろうな。姉貴……清楚で貞淑な姉貴にどんな価値があるの?俺に散々まんこ突かれてアクメ極めてる姉貴が一番素敵。思い余って俺の下位互換みたいなのぶっ殺しちゃう姉貴が愛しくて可愛くて仕方ないよ」
 車が止まった。駐車場の一画だった。激しい劣情を催しているらしき雫恋は後部座席にやってきて加霞をおもちゃにした。だがここが目的地ではない。

 目的地のホテルで雫恋はやっとかつらを取った。適当に脱色した髪を乱して遊ばせた。
「姉貴、起きてる?」
 服は皺まみれでブラウスから胸元を晒し、髪も構ったままシートに横たわる姉を振り返るその整った顔は晴れ晴れとしている。
「セックスしたばかりです、って喧伝していく気?しっかりしろよ」
 腰に残る忌まわしい快感の余韻が重かった。舐めしゃぶられた胸の先端をブラジャーに隠すのが精一杯だった。彼はセックスというが加霞にしてみればレイプである。
「こんなんでどうするの」
 また後部座席にやってくる運転手に怯えた。もう一度弄ばれかねない。
「もう1ラウンドされたくなかったらちゃんと服着て?レイプされた後の姉貴とか可哀想でヌける。そんなの許さないけど」
 揶揄され、冷やかされ嘲笑され、彼女は身嗜みを整えたが、衣類に描かれた皺は伸ばせどもまた浮き上がってしまった。
「行こう、姉貴」
 加霞は倦怠感に勝てない。
「抱き上げていこうか。俺もそのほうが楽だよ。姉貴がワガママ言ってちゃんと従わないのも可愛いけど。メス犬みたいに。つまりビッチみたいに、俺を引っ張り回してワガママなの。躾け甲斐があるよ。やば……またしたくなってきちゃった」
 若く強壮な肉体は一発の吐精では物足りないらしい。彼はまた膨らみを持ちはじめた股の間を撫でた。それを聞くと彼女は飛び起きた。もう犯されたくない。
「いい子だよ、姉貴」
 顎を掬われ、唇を啄まれる。
「行きたくない」
 へらへら笑っていた雫恋の表情が、す……と消え、姉の腕を掴む。力尽くで引き出そうとする。
「い、痛い」
「姉貴さ、痛くしてほしいんじゃないの。やめて、よして、触らないで、はもっとしてって意味でしょ。今までそうだったじゃん。今までそれでイきまくって絶頂アクメしたじゃん。これ利き腕?折れたら俺が介護してあげる。ロケも一緒に来てね。しずくれんはお姉ちゃんと一緒じゃなきゃ何もできないんですって、業界で有名になればいい。っていうか俺が今折ってあげる。そのほうが手っ取り早いでしょ」
 先に加霞の意思が折れた。車から降りる。突然不機嫌になった弟が怖かった。
「潔いじゃん。反抗的なのも可愛いけど、従順なのも可愛いよ。姉貴なら何しても可愛い。胸がきゅんきゅんして苦しくなる」
 手櫛で整えたばかりの髪を雫恋は容赦なく撫で回して乱した。百舌鳥もずの巣になってしまう。アイドルの微笑みを向けられ、加霞は脳天からちょろちょろと氷水をかけられているみたいだった。
「顔色悪いよ。霙恋みたいに死んだ?ご愁傷様じゃん。剥製にしてラブドールにしてあげるよ。姉貴との赤ちゃん欲しかったんだけど残念だな。ねぇ、まだ誰の子も宿してないの?あれだけ毎回出してるのにおかしいね?産めないの?なんか飲んでる?」
 腹を撫でられ、衝動的に彼の頬を張る。
「女ってやっぱ感情的だよね。口で言えば?産めない体質なんですって。捨てられると思った?捨てるわけないだろ。赤ちゃんデキないなら俺は一生姉貴一人を愛せるわけでしょ。焦らなくていいよ。むしろ子供なんか要らない。産みたいかと思ったんだよ、傷付いちゃった?ごめんな?」
 振り切った手を血が止まるかと思うほどの強さで掴まれ、引き寄せられた瞬間に絞め殺すような抱擁が待っていた。怒っているのかと訊ね、機嫌を窺っているようで実際憤怒しているのは雫恋のほうに違いない。
「あなたってどうしてそうデリカシーがないの?なんでそんな性格が悪いの?人格破綻者じゃない!」
「そう?弟を見殺しにする姉貴ほどじゃないんだけどな。弟にイカ焼きさせてフライアウェイさせるほどじゃないよ?人格破綻者も人殺しよりは善良だよね。だって犯罪じゃないもの。弟は強姦魔ですレイパーですって言える?これが3発も4発も中出しされたときの弟の精液です、何月何日何曜日いつ頃どこでどんなふうに何回中に出されたかって言える?そしたら俺も認めるしかないよ、そこまで姉貴がするならね。そうしたら晴れて犯罪者だ。性犯罪者ピンクだよ!でもできないよね、姉貴。セカンドレイプされるだけだよ、主に俺にね。それで週刊誌に取り沙汰されるわけだ?世間のオカズだよ。しずくれんを誑かした魔性のクソビッチのヤリマン。ファンはそう言うね。YESマンしかいないんだから。女の敵は女だよ。特に俺のファン層って義務教育9年がマジで人生のムダ遣いとしか言えないレベルで知能がサルよりも劣ってるし。強姦魔よりも強姦されるような女が悪いって叩くさ。死なないでね、姉貴。自殺教唆の自殺幇助の快楽殺人狂の姉貴よりは無害なんだから。なんの罪もない。無邪気なくらいにね」
「もう黙って、黙りなさい!黙りなさい……」
 悪辣極まりない罵詈雑言と嘲笑も彼の趣味だった。ここまでくると、これと姉弟であることに悲しみと恥ずかしさを覚えずにはいられない。
「それから、あなたを支えてくれるファンを悪く言うのはやめなさい……」
「裏で足利あしかがに言われてたら傷付く?」
「そうじゃなくて……人気商売なんだから………」
 どうやら燃料を投下したらしかった。鼻を鳴らした直後、雫恋はまたけたけたと陰湿に笑った。
「アイドルに人格は要りません。政治的思想も宗教的信仰も個人的信条も要りません性的嗜好も持ってはいけません。だから学歴・学力も要りません。頭の悪さを晒しつつ、歌って踊れて誰も傷付かない、無難で優しいことを言ってればよろしい。なるほど、素晴らしい。俺たちはお人形だよ。それでおまんま食ってるんだから仕方ないね」
「そんな極端なこと言ってない……」
「足利推してて、宝生ほうしょうと仲良いんだっけ、姉貴は?芸歴は長いくせにあいつ等も甘いんだよ」
 彼は急激に冷めた調子に変わった。
「行こ。俺、アイドル論って本当に嫌い。演出にノってればいいんだよ。それだけだろ、人形でいいんだから」
 多弁が止み、彼は姉の背を押して駐車場を出る。ホテルはラブホテルでもビジネスホテルでもなかった。ラグジュアリーホテルというほど仰々しいものではなかったが、高級感溢れるグランドホテルだった。ブラックとゴールドを基調としたエントランスで、気分が浮かれることはなかったが彼女の服装も雫恋の服装も浮いていた。だが気遅れするような弟ではなかった。外面は非常に良い。フロントのホテルマンに話を通してすぐさま案内された。場違いな女の見窄らしい身形に嫌な顔ひとつしないどころか隙のないにこやかや対応が、却って彼女を申し訳なくさせた。
 愛想良く雫恋はホテルマンを追っ払う。部屋に入るとまず夜に映えそうなフィクス窓が目に入った。そして輝くようなオフホワイトのベッドと、そこに広げられた純白のウェディングドレスである。
「結婚するの……?おめでとう………」
 膝が震えてしまった。気取られないように強がる。
「気持ち悪い男だよな。ウェディングドレス買って一人でにたにたしてシコってたんだろ、どうせ。新婚旅行の妄想しながらな」
 後ろから肩を掴まれ、2、3歩部屋の奥に進まされる。
「まぁいいや。自殺教唆されても飛び降りたのは霙恋あれの自業自得の自己責任だから。あれでぽっくり逝っちまわなければ、今頃お楽しみだったんだと思うけど」
「雫恋ちゃん。いくらなんでも、そういうふうに言うのは……霙恋ちゃん、まだ生きてるんだよ………?」
 雫恋は長い睫毛をぱちぱちと屡瞬しばたたいて姉を見下ろす。
「死人の話なんかいいよ。やっと2人きりになれた。おっぱいがいい。おっぱい飲ませろよ、姉貴」
 脈絡なく伸びてきた腕に抵抗するだけ無駄だった。フィクス窓のほうに引き摺られ、ガラスに背を打つ。追い込まれると服を捲られるのも容易だった。ブラジャーから胸の膨らみが現れる。
「ちょっと、や……!」
「おっぱい飲ませろ」
 彼女の両腕は頭上で纏められた。組み伏せるのに難儀する様子はなく、雫恋は姉の乳房を嗅いでいる。外気に触れて張り詰めた先端を舌先で遊んだ。
「あ……っ!」
「乳首だけで大袈裟。母乳出して?」
「出な………、出ないから………!放してっ、!」
「は?出るでしょ。頑張って」
 空いた手と共に唇が色付きを揉み、食む。
「や、ぁっ、あっ!」
 軽く引っ張られながら指の腹で浅く潰されると脳髄に甘い痺れが広がっていく。舌先の質感も小さな箇所からつぶさに伝わる。
「乳首アクメできるんだもんね?」
 子供みたいな喋り方をして、彼は見せつけるように舌を出すと凝った胸の芽吹きを焦らした。
「ぁんっ……!ぁ……」
 ガラスの壁伝いに彼女は落ちていく。膝はもう力が入らない。もどかし過ぎる陶酔が腰に纏わりついて身体を支えられなかった。床に尻餅をつく。雫恋も姿勢を低くした。やがて座り、まだ姉の乳を追い求める。
「姉貴のおっぱい飲みたい」
「も……だめ。や………っ、」
 胸を隠そうとするが、雫恋の両手の方が早かった。全体を持ち上げ、柔らかさを確認し、そして玉のような実粒を転がす。摘まれ擂られ、突つかれ、擽るように掻かれると弱かった。
「ぁあん……っ!」
「おっぱい飲みたいよ、お姉ちゃん。お姉ちゃん、おっぱい出して?お姉ちゃん………」
 胸を嬲る手を剥がそうとしても、蕩けた肉体では敵わない。
「おっぱい飲みたい」
 彼はもう一度首を伸ばして姉の胸を吸った。
「放して……っ、!」
 夢中で乳を飲もうとするろくでもない弟の耳を引っ張った。
「おっぱい出すのと授乳手コキとウェディングドレスでセックスするのどれがいい?」
「ふざけないで……!どういうつもりなの!こんなところで………」
「ウェディングドレスセックスで赤ちゃん作っておっぱい出してもらって授乳手コキ。どう?」
「しない!そんなこと!もう退いてよ!」
 胸を隠す隠さないで攻防が起こる。力勝負で勝てるはずはない。それだけでなく、雫恋は負けを彼女のその敏感な突起に刻み込まんばかりの執拗な愛撫を施した。彼女の下肢が絶頂を目指しながら到達しないことを惜しみ、震えている。
「もしかして、酷いことされたくてやってる?分かった。恥ずかしがり屋で天邪鬼な姉貴のリクエストにお応えするよ」
 壁に凭れたまま半液体になりかかっている姉の頬に指を這わせながら彼は北叟ほくそ笑む。無防備な脚を開かせ、穿いているものを膝まで捲った。
「やめ、て……っ」
 抵抗などあってないようなものだった。すでに弟の頭は彼女の股座にある。床に寝そべるのももう構いはしないようだ。柔らかすぎる肌に吐息がかかり、加霞は身を竦めた。
「助け………て、ごめんなさい………」
「遅いよ?もっと早くゴメンナサイすればよかったのに。駐車場くらいでなら許してたよ?なのに姉貴は強情だったよね。俺にえっちなこと沢山されたかったんだ?」
 声と息が雛芽に響く。
「そこで喋っちゃ、や………っぁ、んんッ」
「ここがくすぐったい?」
 下唇が触れるか掠れるか触れないかというところを掬い上げる。それだけで感じるのか彼の姉は背筋をしならせる。
「外から見えちゃうかもね。あの部屋、えっちなことしてるって」
「あ……ぁっあ、」
「興奮した?ここ何階だと思ってるの?どこかで望遠鏡使って、変なおじさんが覗いてるんじゃない?それで汚ったない童貞ちんぽ、姉貴おかずにシコシコやってたりして。姉貴に挿れたい、挿れたいって思ってさ」
 嬉々として喋っていたが、途中から顰め面に変わった。そしてひょいと起き上がると窓辺で溶けかかっている姉を抱いてウェディングドレスの飾られたベッドへ放った。
「ちんかす臭い変態じじいの童貞ちんぽでだってあんあんヨガり狂う気じゃないよね、姉貴。許さないよ。俺の形にしてあげないと……」
 爛々とした眼にさらに凶暴な妖光が射す。形のよい滑らかな彼女の腿を指の痕が残るほど押さえて卑花を嗅いだ。そして食み、余すことなく蜜を啜る。上質なウェディングドレスを下敷きに、加霞の肢体は死にかけの魚のようだった。拒絶の悲鳴を雫恋は素直に受け入れた。絶頂付近にまで高まっていた性感を突き放される。
「あ………あぁ、……」
「イきたかった?でも残念。イかせてあげない」
 唇がてらてらと卑猥に照っている。それを舐める時の舌まで粘糸を引く。
「ああ、あいつを弔ってあげないと。こんな綺麗なウェディングドレス作ったんだから。―姉さん、そうだな?俺を弔ってくれるな?」
 一瞬で双子は入れ替わった。今まで一人二役やっていたかのように。
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