1 / 4
1.姫と王子
しおりを挟む
さらり、かすかな音は息づかいと同じ密やかさで床に落ち、霞が揺らぐように薄絹が絨毯の上に広がる。そのひとはあくまで気高さを失わぬまま、挑発的に目を細めてあらわになった肌を指先でたどった。しなやかな体の表面に、蛇がのたくったように蒼い鱗が帯状に並んでいる。それは左足のつま先からゆるやかに身体を一周して左目の下まで及んでいた。
「……これが、あなたの望んだ珍品だ。感想をお聞かせ願おう」
低く冷たい言葉を投げかけられた男は、顔の半ばまでを覆ってしまう長い前髪の下で目をぱちりと瞬いたようだった。それから座っていた寝台の上の毛布をたぐり、手に持って立ち上がる。
「おれ、蛇は大丈夫なんだ。足がいっぱいあるほうが苦手でね。……今日は冷えるから、暖かくしていたほうがいいよ、姫さま」
姫さま、と呼ばれて毛布を着せかけられた鱗持つ女は、深い湖の底を思わせる目をみはって男を見上げる。愕然とわななく唇からようやく言葉を絞り出したのは、男が悠々と机に向かったあとだった。
「……蛇ではない! それと、姫さまと呼ぶのはやめろ。……もう、私の国は滅んだのだ」
机に向かって何かを書きつけていた男は椅子の上で体をひねり、肩越しに問いかける。
「うん? じゃあ、なんて呼ぼうか。おれはテオドア」
「……存じ上げているとも。あなたこそ、今さら私の名を聞くこともないだろう」
毛布を体に巻きつけてつんとそっぽを向く女に、テオドアは椅子の背に肘をかけて困ったように無精髭の生えた顎をかく。
「そうじゃなくて……君がなんて呼ばれたいか聞かせてくれないかな」
女はぱっと振り返る。その瞳は灯火を映して揺らぎ、じわりと緑ににじむようだった。小さく噛みしめた唇を、女はゆっくりとほどく。
「……パティシス・ララ・ハヴァニーニャ、故郷では……ティティ、と」
うつむいたパティシスがそう名乗ると、テオドアはぷすっと唇から空気を漏らして笑う。
「顔に似合わぬかわいい名前。……ん、ティティさん、これからよろしく」
「に、似合わぬとはなんだ!」
パティシスが憤慨するのをよそに、テオドアはせっせと机に向かって書き物を続ける。不思議に思ったパティシスはそろそろとテオドアの背中に歩み寄った。
「何を熱心に書いている?」
「日記だよ。日々の記録も仕事のうちでね」
テオドアの手元を覗き込んだパティシスは綺麗に揃った文字の几帳面さに驚く。顔に似合わないのはどちらだというのか。テオドアはすぐに顔をあげてパティシスを見た。
「ティティさん、お疲れだろ。おれはもうしばらくかかるから、先に休むといいよ。脱いだ服、片付けてね」
気遣っているのかぞんざいなのかわからない扱われ方にパティシスは鼻白む。これ以上テオドアの邪魔をする気にもなれず、毛布を引きずって床に落ちた薄絹を拾い、部屋の隅に置かれていた自分の行李に放り投げて寝台に身を投げ出した。かりかりとペンが紙をひっかく音に耳を傾けるうち、柔らかな眠りに引き込まれていく。
はるか東の山中にその国はあった。その国の民は体に宝石めいた美しい鱗を持ち、誇り高く他の国との交流を好まなかった。そのため周りの国々が競うように軍事力を高める中、美貌の竜人たちはなす術もなく戦に翻弄され、格好の戦利品として取引された。はじめは子供や若い娘、それから戦いに負けた戦士たち、そして、その国の王都が陥落した日、たった一人の姫君も捕らえられた。
誰もが欲しがる最上の戦果を手にした王子テオドアがあのようなのんき者だとは、パティシスも想像していなかった。そもそもテオドアは王子といえど王位継承の道は絶たれているのだという。この領地も西の辺境にあり、要衝ではあるものの都の華やかさからは程遠い。それでもパティシスを賜ることができたのは、テオドアが「他の褒美は何一ついらない」と断言したからだという。会ったこともないパティシスにそれほど執着する理由は鱗以外に思いつかなかった。それなのに「蛇は大丈夫」などととぼけてみせる。パティシスの理解を超えていた。
「御方様、眉間にシワが」
侍従に茶を勧められてようやくパティシスは眉を開き、こわばっていた体を緩める。温かい茶をすすりながら侍従のほうをちらりと見ると、澄ました顔で菓子を切り分けている。つるりとなめらかな顔に表情は乏しく、テオドア以上に何を考えているかわからない。それでもこの城に来た日から甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるので、パティシスはすっかりこの美少年を信頼していた。
「シェリー、お前はテオドアに仕えて長いのか」
「そのような家系ですので、物心ついたころからお仕えしております」
木の実を混ぜて焼き固めた菓子をパティシスの前に置きながらシェリーは答える。パティシスはぽろぽろと崩れる菓子に難儀しながら問いを重ねた。
「では、その……テオドアは、昔からあんな感じなのか」
シェリーの切れ長の目がぱちんと音を立てそうに瞬く。表情を変えたのはそれだけで、シェリーは淡々と言葉を続けた。
「私が知る限り、テオドア様の人が変わられたという経験はございません。ただ若輩者ゆえ、お仕えを始める前に何があったかは人づてに聞くばかりですが」
茶を注ぎ足すシェリーに、パティシスは勢い込んで尋ねる。
「何かはあったのだろう?」
傾けていたティーポットをワゴンに戻したシェリーは顔をあげ、淡く微笑んでみせた。
「気になるのですね?」
その微笑みに胸の内を見透かされたような気がして、パティシスは慌てて乗り出していた上半身を椅子の背につけてついと顔をそらす。
「気に、なるに決まっている。どういう目的で私を手に入れたのかわからないままでは気味が悪い」
そう取り繕ってみせたものの、実際のところパティシスはどうもテオドアに悪い感情を抱けそうになかった。この城に来て数日、テオドアとは朝夕の食事のときに顔を合わせるだけだ。何のために、という疑問は本当でも、食事のときに何くれとなくパティシスを気遣い、楽しげにパティシスの話を聞くテオドアが悪人だとは思えなかった。
シェリーはうっすらと微笑みを浮かべたままパティシスを見つめて語りかける。
「気になるのでしたら、人づてに聞くよりはご自分でお確かめください。そのほうが、お二人にとって良い結果となるでしょう」
パティシスは口をつぐみ、複雑な思いで茶に口をつけた。結局何にも答えられていない。だが、シェリーがそう言うからには何か理由があるのだろう。しかし確かめるといっても、朝目が覚めたときにはもうどこかに行っていて、夜眠るときにはいつも机に向かっている背中を見ながら眠りに落ちるので、本当に同じ寝所で寝ているのかどうかすらよくわからないのだ。もう少し眠りの浅い体質であればよかったのだが、一度寝つくと朝までぐっすり寝てしまうため、もしあの広い寝台の端にテオドアが横になったとしても気づかない気がする。
「……御方様がそうしてテオドア様のことを知りたいと思われるのは、テオドア様にとっても決して厭わしいことではないと思いますよ。遠くから思い悩むよりは、触れ合う時間を持ってみてはいかがでしょう」
ぼんやりとカップをささげ持ったままでいたパティシスは、シェリーの言葉にはっと顔をあげる。
「……しかし、あの男はいつもあっちをふらふら、こっちをふらふら、追いかけても追いついたためしがないぞ」
「ご多忙なお方ですので……」
パティシスが深いため息をつくと、シェリーはにっこりと笑顔を見せて懐から小さな手帳を取り出した。
「ですから、私どもがご予定を管理しています。先手を取れば、一日中ついて回るのも容易いことです」
「……これが、あなたの望んだ珍品だ。感想をお聞かせ願おう」
低く冷たい言葉を投げかけられた男は、顔の半ばまでを覆ってしまう長い前髪の下で目をぱちりと瞬いたようだった。それから座っていた寝台の上の毛布をたぐり、手に持って立ち上がる。
「おれ、蛇は大丈夫なんだ。足がいっぱいあるほうが苦手でね。……今日は冷えるから、暖かくしていたほうがいいよ、姫さま」
姫さま、と呼ばれて毛布を着せかけられた鱗持つ女は、深い湖の底を思わせる目をみはって男を見上げる。愕然とわななく唇からようやく言葉を絞り出したのは、男が悠々と机に向かったあとだった。
「……蛇ではない! それと、姫さまと呼ぶのはやめろ。……もう、私の国は滅んだのだ」
机に向かって何かを書きつけていた男は椅子の上で体をひねり、肩越しに問いかける。
「うん? じゃあ、なんて呼ぼうか。おれはテオドア」
「……存じ上げているとも。あなたこそ、今さら私の名を聞くこともないだろう」
毛布を体に巻きつけてつんとそっぽを向く女に、テオドアは椅子の背に肘をかけて困ったように無精髭の生えた顎をかく。
「そうじゃなくて……君がなんて呼ばれたいか聞かせてくれないかな」
女はぱっと振り返る。その瞳は灯火を映して揺らぎ、じわりと緑ににじむようだった。小さく噛みしめた唇を、女はゆっくりとほどく。
「……パティシス・ララ・ハヴァニーニャ、故郷では……ティティ、と」
うつむいたパティシスがそう名乗ると、テオドアはぷすっと唇から空気を漏らして笑う。
「顔に似合わぬかわいい名前。……ん、ティティさん、これからよろしく」
「に、似合わぬとはなんだ!」
パティシスが憤慨するのをよそに、テオドアはせっせと机に向かって書き物を続ける。不思議に思ったパティシスはそろそろとテオドアの背中に歩み寄った。
「何を熱心に書いている?」
「日記だよ。日々の記録も仕事のうちでね」
テオドアの手元を覗き込んだパティシスは綺麗に揃った文字の几帳面さに驚く。顔に似合わないのはどちらだというのか。テオドアはすぐに顔をあげてパティシスを見た。
「ティティさん、お疲れだろ。おれはもうしばらくかかるから、先に休むといいよ。脱いだ服、片付けてね」
気遣っているのかぞんざいなのかわからない扱われ方にパティシスは鼻白む。これ以上テオドアの邪魔をする気にもなれず、毛布を引きずって床に落ちた薄絹を拾い、部屋の隅に置かれていた自分の行李に放り投げて寝台に身を投げ出した。かりかりとペンが紙をひっかく音に耳を傾けるうち、柔らかな眠りに引き込まれていく。
はるか東の山中にその国はあった。その国の民は体に宝石めいた美しい鱗を持ち、誇り高く他の国との交流を好まなかった。そのため周りの国々が競うように軍事力を高める中、美貌の竜人たちはなす術もなく戦に翻弄され、格好の戦利品として取引された。はじめは子供や若い娘、それから戦いに負けた戦士たち、そして、その国の王都が陥落した日、たった一人の姫君も捕らえられた。
誰もが欲しがる最上の戦果を手にした王子テオドアがあのようなのんき者だとは、パティシスも想像していなかった。そもそもテオドアは王子といえど王位継承の道は絶たれているのだという。この領地も西の辺境にあり、要衝ではあるものの都の華やかさからは程遠い。それでもパティシスを賜ることができたのは、テオドアが「他の褒美は何一ついらない」と断言したからだという。会ったこともないパティシスにそれほど執着する理由は鱗以外に思いつかなかった。それなのに「蛇は大丈夫」などととぼけてみせる。パティシスの理解を超えていた。
「御方様、眉間にシワが」
侍従に茶を勧められてようやくパティシスは眉を開き、こわばっていた体を緩める。温かい茶をすすりながら侍従のほうをちらりと見ると、澄ました顔で菓子を切り分けている。つるりとなめらかな顔に表情は乏しく、テオドア以上に何を考えているかわからない。それでもこの城に来た日から甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるので、パティシスはすっかりこの美少年を信頼していた。
「シェリー、お前はテオドアに仕えて長いのか」
「そのような家系ですので、物心ついたころからお仕えしております」
木の実を混ぜて焼き固めた菓子をパティシスの前に置きながらシェリーは答える。パティシスはぽろぽろと崩れる菓子に難儀しながら問いを重ねた。
「では、その……テオドアは、昔からあんな感じなのか」
シェリーの切れ長の目がぱちんと音を立てそうに瞬く。表情を変えたのはそれだけで、シェリーは淡々と言葉を続けた。
「私が知る限り、テオドア様の人が変わられたという経験はございません。ただ若輩者ゆえ、お仕えを始める前に何があったかは人づてに聞くばかりですが」
茶を注ぎ足すシェリーに、パティシスは勢い込んで尋ねる。
「何かはあったのだろう?」
傾けていたティーポットをワゴンに戻したシェリーは顔をあげ、淡く微笑んでみせた。
「気になるのですね?」
その微笑みに胸の内を見透かされたような気がして、パティシスは慌てて乗り出していた上半身を椅子の背につけてついと顔をそらす。
「気に、なるに決まっている。どういう目的で私を手に入れたのかわからないままでは気味が悪い」
そう取り繕ってみせたものの、実際のところパティシスはどうもテオドアに悪い感情を抱けそうになかった。この城に来て数日、テオドアとは朝夕の食事のときに顔を合わせるだけだ。何のために、という疑問は本当でも、食事のときに何くれとなくパティシスを気遣い、楽しげにパティシスの話を聞くテオドアが悪人だとは思えなかった。
シェリーはうっすらと微笑みを浮かべたままパティシスを見つめて語りかける。
「気になるのでしたら、人づてに聞くよりはご自分でお確かめください。そのほうが、お二人にとって良い結果となるでしょう」
パティシスは口をつぐみ、複雑な思いで茶に口をつけた。結局何にも答えられていない。だが、シェリーがそう言うからには何か理由があるのだろう。しかし確かめるといっても、朝目が覚めたときにはもうどこかに行っていて、夜眠るときにはいつも机に向かっている背中を見ながら眠りに落ちるので、本当に同じ寝所で寝ているのかどうかすらよくわからないのだ。もう少し眠りの浅い体質であればよかったのだが、一度寝つくと朝までぐっすり寝てしまうため、もしあの広い寝台の端にテオドアが横になったとしても気づかない気がする。
「……御方様がそうしてテオドア様のことを知りたいと思われるのは、テオドア様にとっても決して厭わしいことではないと思いますよ。遠くから思い悩むよりは、触れ合う時間を持ってみてはいかがでしょう」
ぼんやりとカップをささげ持ったままでいたパティシスは、シェリーの言葉にはっと顔をあげる。
「……しかし、あの男はいつもあっちをふらふら、こっちをふらふら、追いかけても追いついたためしがないぞ」
「ご多忙なお方ですので……」
パティシスが深いため息をつくと、シェリーはにっこりと笑顔を見せて懐から小さな手帳を取り出した。
「ですから、私どもがご予定を管理しています。先手を取れば、一日中ついて回るのも容易いことです」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る
堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。
彼は新興国である新獣人国の国王だ。
新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。
過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。
しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。
先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。
新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。
あなたの運命になりたかった
夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。
コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。
※一話あたりの文字数がとても少ないです。
※小説家になろう様にも投稿しています
母は姉ばかりを優先しますが肝心の姉が守ってくれて、母のコンプレックスの叔母さまが助けてくださるのですとっても幸せです。
下菊みこと
ファンタジー
産みの母に虐げられ、育ての母に愛されたお話。
親子って血の繋がりだけじゃないってお話です。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
欲しいのならば、全部あげましょう
杜野秋人
ファンタジー
「お姉様!わたしに頂戴!」
今日も妹はわたくしの私物を強請って持ち去ります。
「この空色のドレス素敵!ねえわたしに頂戴!」
それは今月末のわたくしの誕生日パーティーのためにお祖父様が仕立てて下さったドレスなのだけど?
「いいじゃないか、妹のお願いくらい聞いてあげなさい」
とお父様。
「誕生日のドレスくらいなんですか。また仕立てればいいでしょう?」
とお義母様。
「ワガママを言って、『妹を虐めている』と噂になって困るのはお嬢様ですよ?」
と専属侍女。
この邸にはわたくしの味方などひとりもおりません。
挙げ句の果てに。
「お姉様!貴女の素敵な婚約者さまが欲しいの!頂戴!」
妹はそう言って、わたくしの婚約者までも奪いさりました。
そうですか。
欲しいのならば、あげましょう。
ですがもう、こちらも遠慮しませんよ?
◆例によって設定ほぼ無しなので固有名詞はほとんど出ません。
「欲しがる」妹に「あげる」だけの単純な話。
恋愛要素がないのでジャンルはファンタジーで。
一発ネタですが後悔はありません。
テンプレ詰め合わせですがよろしければ。
◆全4話+補足。この話は小説家になろうでも公開します。あちらは短編で一気読みできます。
カクヨムでも公開しました。
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる