★男女逆転リバースワールド

みさお

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ヒップアップでLove・Up!

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「きゃっ、もう、ご主女さまのエッチぃ~」
キッチンで料理してたら、突然、妻が僕のお尻を撫でまわしてきた。
最近の彼女って、どうしちゃったの?
だって、僕のお尻ばかり狙うんだもの。
でも、まあ、それも当然かも。
だって、ヒップアップしたんだもの。

「「「ヒップアップでLove・Up!」」」
レオタード姿の若い男性達がダンスの後、腰を高くして決めポーズ。
中央の男性のお尻が大写しとなって、フェードアウト。
最近盛んに見かける美容外科のCMだ。
「ねえ、あなた。お尻も大きくしたいって思わない?」
この前の豊胸手術の成功に気をよくした妻が、僕に問いかけてきた。
「あのCMの豊尻手術って、あなたも受けてみたくない?」
彼女の期待を込めたような弾んだ声に、ちょっと気圧される。
一瞬の間の後、僕は消え入るような小さな声で答えた。
「はい、受けたいです。ご主女さま」
本当は手術って怖くて嫌だったけど、妻の期待に応えない訳にはいかない。
それに、妻に従うのは夫の務めだもの。
そもそも、妻の一存で夫に手術を受けさせていいんだし、手術承諾書も手術を受ける本人である僕の署名は不要で、保護者欄に妻の署名があればいい筈。
本当は、妻が夫に確認する必要なんてないのに、彼女はちゃんと僕の意思を尊重してくれたんだ。
その事に気づいた僕は、もう一度、はっきりした声で答えた。
「その手術を受けたいです。ご主女さま」
すると彼女は僕を抱きしめると、頬にキスしてくれた。
「嬉しいわ、あなた。でも、本当にいいの?怖くない?あなたに無理強いはしたくないの。」
思ってたとおり。やっぱり、彼女って僕に気遣ってくれてたんだ。
そう思うと、なんだか頬が熱くなってくるのを感じる。
こんな素敵な人が僕のカノジョ。
何だか恋人になって間もない頃のように胸がドキドキする。
うん、勇気もらった。大丈夫、もう手術なんて怖くない。
その後の手術は成功で、ナイスバディってヤツ?って、ちょっと古いか。
でも、鏡で振り返って見てみると、我ながら見事なプロポーション。
うふふっ、何だか嬉しくなってくる。
だって、実はお尻にコンプレックスがあったんだもの。
もっとボリュームがあれば、ミニスカだって似合うのにって、ずっと自分のお尻に不満があったの。
彼女ってば、それに気づいていたのかも。
僕の悩みにも気づいてくれる、素敵な彼女。
スキです。
なんだか、ちょっと感動して少し涙ぐむ。
手術後の最後の検査が終わると、彼女は車の中で僕を抱きしめてくれた。
「愛しています。ご主女さま」
僕が彼女の耳元で囁くと、彼女は優しくキスしてくれた。
「うふふっ、今夜は寝かさないわよ」
彼女の目が妖しく光った。
久しぶりに今夜はお泊りデートかも。
何だか、熱々の恋人時代に戻ったみたい。
『ヒップアップでLove・Up!』
あのCMのフレーズが頭の中でリフレインする。
うふふっ、手術を受けて本当によかった。
『愛しています。ご主女さま』
今度は心の中で呟くと、僕はそっと首元に触れる。
銀色に輝く愛のしるし。結婚首輪が二人の愛を確かめさせてくれた。
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