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親しき仲にも礼儀あり
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「お帰りなさいませ。ご主女さま」
僕は玄関で三つ指ついて妻を出迎える。
鞄とコートを受け取って書斎に運ぶ。
食事と入浴が終わって、後片付け。
「チリン」
あっ、呼び鈴の音。
僕は書斎に急ぐ。
「お呼びでしょうか?ご主女さま」
「あなた、お茶を淹れてちょうだい」
予想どおり。彼女って、朝はコーヒー派だけど、夜はお茶が多いんだ。
「かしこまりました。ご主女さま」
僕は一礼して、部屋を出る。
急いでキッチンに戻り、お茶の準備ってか、実はもうほとんど用意できてるんだ。
「あらっ?もうできたの。早いわね」
当然です。
だって、僕ってば彼女の好みはわかってるんだもん。
「ふう~、美味しいわ。お茶出しが上手くなったわね、あなた」
嬉しい。
彼女って、こんな風に、ちょっとした気遣いが出来るんだもの。
何だか、もっともっと、彼女にご奉仕したくなる。
「他に何かご用はございませんか?ご主女さま」
僕は嬉しくなって、彼女に尋ねる。
「もう、そんなに畏まらないで。昔みたいに敬語じゃなくて、タメ口でいいのよ」
妻はよくそう言うけど、もちろんそんなのダメ。
だって、夫の心得にも「夫は礼儀を正しくすべし」って書いてあるでしょ。
親しき仲にも礼儀あり。
結婚してから、僕は彼女に対して敬語で話すようになった。憲法には女男平等って書いてあるけど、そんなのが通用するのなんて学生まで。
それに、婦夫は主従関係だもの、もちろん妻が主で夫は従だ。
「もう、聞き分けのない夫ね」
妻はちょっと不機嫌そうに呟くと、突然、彼女は僕を膝に乗せた。
「きゃっ」
これはちょっと、予想外。
「もうっ!夫のクセに妻の言うことが聞けないの?」
彼女は僕のメイド服のスカート捲って、パンツを下ろすと、お尻を叩き始めた。
「お許しください。ご主女さま」
僕は決まり文句で許しを請うけど、実はちょっとドキドキする。
調教って、婦夫のスキンシップの面があると思う。
それに、調教は婦夫の大切な絆だもの。
妻に調教される度に、僕は彼女好みの夫になるんだって思うと、何だか体が火照ってくるような気がするんだ。
でも、今回は妻の言い分は間違ってる。
夫が妻に対して敬語を使うのは、大切な礼儀作法なんだもの。そんな簡単に止めて言い訳がない。タメ口なんてはしたなくて世間体も悪いし、大体、エレガントじゃないでしょ。
それに、目上の人の誤りを諫めるのは、下の者の大切な役目。
「もう、強情なんだから」
スパンキングの後、妻はちょっと不機嫌そうに呟くと、指で僕の鼻を弾いた。
そして、僕の顎を持ち上げて優しくキスしてくれた。
良かった。本気じゃなかったんだ。やっぱり、不機嫌だったのはフリだけだったんだ。
それに、結局、敬語を使うのもそのまま許してくれた。
うふふっ、やっぱり、優しいご主女さま。
スキです。
暫く、調教の余韻にまどろんだ後、僕は床に転がされたまま指先にキスする。
「愛しています。ご主女さま」
僕は指先を首元に押し付けた。
銀色に輝く愛のしるし。
結婚首輪の金属の感触が、婦夫の絆をより一層深く感じさせてくれた。
僕は玄関で三つ指ついて妻を出迎える。
鞄とコートを受け取って書斎に運ぶ。
食事と入浴が終わって、後片付け。
「チリン」
あっ、呼び鈴の音。
僕は書斎に急ぐ。
「お呼びでしょうか?ご主女さま」
「あなた、お茶を淹れてちょうだい」
予想どおり。彼女って、朝はコーヒー派だけど、夜はお茶が多いんだ。
「かしこまりました。ご主女さま」
僕は一礼して、部屋を出る。
急いでキッチンに戻り、お茶の準備ってか、実はもうほとんど用意できてるんだ。
「あらっ?もうできたの。早いわね」
当然です。
だって、僕ってば彼女の好みはわかってるんだもん。
「ふう~、美味しいわ。お茶出しが上手くなったわね、あなた」
嬉しい。
彼女って、こんな風に、ちょっとした気遣いが出来るんだもの。
何だか、もっともっと、彼女にご奉仕したくなる。
「他に何かご用はございませんか?ご主女さま」
僕は嬉しくなって、彼女に尋ねる。
「もう、そんなに畏まらないで。昔みたいに敬語じゃなくて、タメ口でいいのよ」
妻はよくそう言うけど、もちろんそんなのダメ。
だって、夫の心得にも「夫は礼儀を正しくすべし」って書いてあるでしょ。
親しき仲にも礼儀あり。
結婚してから、僕は彼女に対して敬語で話すようになった。憲法には女男平等って書いてあるけど、そんなのが通用するのなんて学生まで。
それに、婦夫は主従関係だもの、もちろん妻が主で夫は従だ。
「もう、聞き分けのない夫ね」
妻はちょっと不機嫌そうに呟くと、突然、彼女は僕を膝に乗せた。
「きゃっ」
これはちょっと、予想外。
「もうっ!夫のクセに妻の言うことが聞けないの?」
彼女は僕のメイド服のスカート捲って、パンツを下ろすと、お尻を叩き始めた。
「お許しください。ご主女さま」
僕は決まり文句で許しを請うけど、実はちょっとドキドキする。
調教って、婦夫のスキンシップの面があると思う。
それに、調教は婦夫の大切な絆だもの。
妻に調教される度に、僕は彼女好みの夫になるんだって思うと、何だか体が火照ってくるような気がするんだ。
でも、今回は妻の言い分は間違ってる。
夫が妻に対して敬語を使うのは、大切な礼儀作法なんだもの。そんな簡単に止めて言い訳がない。タメ口なんてはしたなくて世間体も悪いし、大体、エレガントじゃないでしょ。
それに、目上の人の誤りを諫めるのは、下の者の大切な役目。
「もう、強情なんだから」
スパンキングの後、妻はちょっと不機嫌そうに呟くと、指で僕の鼻を弾いた。
そして、僕の顎を持ち上げて優しくキスしてくれた。
良かった。本気じゃなかったんだ。やっぱり、不機嫌だったのはフリだけだったんだ。
それに、結局、敬語を使うのもそのまま許してくれた。
うふふっ、やっぱり、優しいご主女さま。
スキです。
暫く、調教の余韻にまどろんだ後、僕は床に転がされたまま指先にキスする。
「愛しています。ご主女さま」
僕は指先を首元に押し付けた。
銀色に輝く愛のしるし。
結婚首輪の金属の感触が、婦夫の絆をより一層深く感じさせてくれた。
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