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女男平等と護身術
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「ねえ、あなたも護身術ぐらい習っておいた方がいいかもね」
リビングでテレビを見ていた妻が僕に薦める。
男性向け護身術教室を特集した番組のようだ。護身術を習うのが、今、若い男性に人気だという。
最近、性犯罪が増えてるって言うけど、まあ、いつものテレビのステマ宣伝だろうし、この辺は大丈夫だろ。
ネットでは反日外国人によるレイプが増えてるせいだとも言うけど、そんなのデマだろうし。
でも、彼女が薦めるんなら、ちょっと通ってみようかな。
だって、夫は妻に従うもんでしょ。
わあっ、意外と豪華なビル。
少し郊外にある公民館が護身術セミナーの会場だった。
欧州の宮殿をイメージしたような吹き抜けにシャンデリア。色あせてるけどアールデコ調の壁紙。
定礎には元男性センターだった頃の名残がある。
まあ、左翼が威勢がよかった頃のネオバブル時代の遺産だろう。
なんだか豪華さのセンスが古臭くって悪趣味にすら感じるけど、当時はイケイケで金回りがよかったんだろうな。
あっ、そろそろセミナーが始まる時間だ。
僕はトイレでメイクをチェックした後、セミナー会場の部屋に入る。
部屋に入るともあっとした臭気が鼻につく、香水や化粧品の匂いがキツイ。
男性ばかり集まると、こういうのがちょっと嫌なんだよな。まあ、僕もその内の一人なんだけど。
講師は中高年の男性で、大学教授だと言う。男性なのに大学教授だなんてスゴイ。
でも、内容は無味乾燥で退屈だ。
まあ、こういうのにありがちな法律による理論武装なんだろうけど、こんな座学より、さっさと実技指導に入って欲しい。
「男性は暴力を放棄しており、男性には基本的人権も認められていません。このことは憲法第何条に書いてあるのでしょう?」
うとうとしそうになっていたら、いきなり、講師が僕を当て来た。
「はい。憲法第9条です」
流石に僕だってそれくらいは知っている。
「その通り。憲法第9条の男性の権利放棄ですね。われわれ男性は、かつて女権革命の崇高な理念に賛同し、女男平和な理想社会実現のために全ての人権を放棄しました。ですが、現在の社会はどうでしょう。現在の社会では様々な男性差別があります。男性保護法でも男性は「物」扱いされており、これは女男平等に反する女尊男卑であり憲法違反です。」
ヤバイよこの先生。今時、男性差別だの女尊男卑が憲法違反だなんて、バリバリの左翼のメェミじゃねーか。
「本筋から逸れましたが、憲法第9条で男性は人権を放棄しましたが、生物の生存本能の権利まで放棄した訳ではありません。法律行為に伴う権利を放棄したのであって、自己防衛のための行動は保持しているのです。これを自衛権と言います。」
まあ、この先生って、言うことはちょっと過激だったけど、なるほど意味は判った。男性にも正当防衛の理由があれば、襲われたとき防御だけでなく反撃してもいいってことだろ。
次はいよいよ実技だ。
講師はスポーツウェアがよく似合う女性に変わった。
ちょっと、カッコイイかも。
「まず、相手と戦って勝とうは思わないこと。危険に襲われた時、いかにその状況から脱出するかが重要です。護身術はそのためのスキルの一つに過ぎません。実際に、ボディーワークで試して見ましょう。」
なるほど、流石スポーツウーマン。シンプルな内容で、さっきのキーキーした男教授とはちょっと違う。そして、引き締まった体での実演も相まって判りやすい。
でも、ちょっとその技は下品じゃない?
マン的って、暴漢とはいえ女性の股間を蹴るのはちょっと抵抗がある...
それに、頭突きだの目潰し攻撃だのって、反則じゃないの?
「これはスポーツではありませんので、反則はありません。格好なんかを気にせず、利用できるものは全て利用して、なんとしても暴漢から逃げること。自分の身を守ることが第一だと考えてください」
彼女の言うのはシンプルで判りやすいし、体を動かしならが説明する姿って、ちょっとカッコイイかも。
うふふっ、ご主女さまゴメンなさい。でも、浮気じゃないからチョット見とれるぐらいいいよね。
「愛しています。ご主女さま」
僕はちょっとだけ罪悪感を感じながら、首元に手を添えて呟く。
少し汗で濡れた結婚首輪がキラリと光る。
銀色に輝く愛のしるし。
【メェミ】
メェミニストの略で、女男平等主義者の訳です。
数十年前は、女男問わず幅広く支持者も多かったのですが、男性差別批判で企業を猛烈に攻撃したり、国内外の反日勢力との繋がりが徐々に明らかになったため、近年では男性からも支持層が消えつつあります。
リビングでテレビを見ていた妻が僕に薦める。
男性向け護身術教室を特集した番組のようだ。護身術を習うのが、今、若い男性に人気だという。
最近、性犯罪が増えてるって言うけど、まあ、いつものテレビのステマ宣伝だろうし、この辺は大丈夫だろ。
ネットでは反日外国人によるレイプが増えてるせいだとも言うけど、そんなのデマだろうし。
でも、彼女が薦めるんなら、ちょっと通ってみようかな。
だって、夫は妻に従うもんでしょ。
わあっ、意外と豪華なビル。
少し郊外にある公民館が護身術セミナーの会場だった。
欧州の宮殿をイメージしたような吹き抜けにシャンデリア。色あせてるけどアールデコ調の壁紙。
定礎には元男性センターだった頃の名残がある。
まあ、左翼が威勢がよかった頃のネオバブル時代の遺産だろう。
なんだか豪華さのセンスが古臭くって悪趣味にすら感じるけど、当時はイケイケで金回りがよかったんだろうな。
あっ、そろそろセミナーが始まる時間だ。
僕はトイレでメイクをチェックした後、セミナー会場の部屋に入る。
部屋に入るともあっとした臭気が鼻につく、香水や化粧品の匂いがキツイ。
男性ばかり集まると、こういうのがちょっと嫌なんだよな。まあ、僕もその内の一人なんだけど。
講師は中高年の男性で、大学教授だと言う。男性なのに大学教授だなんてスゴイ。
でも、内容は無味乾燥で退屈だ。
まあ、こういうのにありがちな法律による理論武装なんだろうけど、こんな座学より、さっさと実技指導に入って欲しい。
「男性は暴力を放棄しており、男性には基本的人権も認められていません。このことは憲法第何条に書いてあるのでしょう?」
うとうとしそうになっていたら、いきなり、講師が僕を当て来た。
「はい。憲法第9条です」
流石に僕だってそれくらいは知っている。
「その通り。憲法第9条の男性の権利放棄ですね。われわれ男性は、かつて女権革命の崇高な理念に賛同し、女男平和な理想社会実現のために全ての人権を放棄しました。ですが、現在の社会はどうでしょう。現在の社会では様々な男性差別があります。男性保護法でも男性は「物」扱いされており、これは女男平等に反する女尊男卑であり憲法違反です。」
ヤバイよこの先生。今時、男性差別だの女尊男卑が憲法違反だなんて、バリバリの左翼のメェミじゃねーか。
「本筋から逸れましたが、憲法第9条で男性は人権を放棄しましたが、生物の生存本能の権利まで放棄した訳ではありません。法律行為に伴う権利を放棄したのであって、自己防衛のための行動は保持しているのです。これを自衛権と言います。」
まあ、この先生って、言うことはちょっと過激だったけど、なるほど意味は判った。男性にも正当防衛の理由があれば、襲われたとき防御だけでなく反撃してもいいってことだろ。
次はいよいよ実技だ。
講師はスポーツウェアがよく似合う女性に変わった。
ちょっと、カッコイイかも。
「まず、相手と戦って勝とうは思わないこと。危険に襲われた時、いかにその状況から脱出するかが重要です。護身術はそのためのスキルの一つに過ぎません。実際に、ボディーワークで試して見ましょう。」
なるほど、流石スポーツウーマン。シンプルな内容で、さっきのキーキーした男教授とはちょっと違う。そして、引き締まった体での実演も相まって判りやすい。
でも、ちょっとその技は下品じゃない?
マン的って、暴漢とはいえ女性の股間を蹴るのはちょっと抵抗がある...
それに、頭突きだの目潰し攻撃だのって、反則じゃないの?
「これはスポーツではありませんので、反則はありません。格好なんかを気にせず、利用できるものは全て利用して、なんとしても暴漢から逃げること。自分の身を守ることが第一だと考えてください」
彼女の言うのはシンプルで判りやすいし、体を動かしならが説明する姿って、ちょっとカッコイイかも。
うふふっ、ご主女さまゴメンなさい。でも、浮気じゃないからチョット見とれるぐらいいいよね。
「愛しています。ご主女さま」
僕はちょっとだけ罪悪感を感じながら、首元に手を添えて呟く。
少し汗で濡れた結婚首輪がキラリと光る。
銀色に輝く愛のしるし。
【メェミ】
メェミニストの略で、女男平等主義者の訳です。
数十年前は、女男問わず幅広く支持者も多かったのですが、男性差別批判で企業を猛烈に攻撃したり、国内外の反日勢力との繋がりが徐々に明らかになったため、近年では男性からも支持層が消えつつあります。
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