★男女逆転リバースワールド

夫の出産～タツノオトシゴ

「お帰りなさいませ、ご主女さま。お食事になさいます？お風呂になさいます？それとも．．．ボク？」
久しぶりの新婚三択。だって、今日は結婚記念日なんだもん。ムードって大事でしょ。
「お背中お流しします」
妻に呼ばれて、ボクも浴室に入る。
必殺っ！ボディ洗い。
彼女に強引に受けさせられた豊胸手術だけど、今ではお気に入り。
ボクの自慢の爆乳で彼女を攻める、攻める、攻めるぅ！

お風呂の後、ソファーで寛ぐご主女さま。
ボクは急いで風呂上りのビールをお渡しする。
「まあ、気が利くわね、あなた」
当然です。だって、妻にご奉仕するのは夫の務めだもん。
「そろそろ、ワインはいかがですか？」
妻の好みは赤ワイン。ボクは頃合を見計らってワインを用意する。
ボクがグラスにワインを注ぐと、彼女はボクを片膝に乗せてキスしてくれた。
あれっ？これって、キスじゃなくてワインの口移し。
恥ずかしい．．．でも嬉しい。

久しぶりのベッドインの後、妻から妊娠を打ち明けられた。
翌日、ボクは病院で診察してもらった後、手術承諾書を妻に渡す。
男性保護法で妻が夫の保護者になったから、夫の手術には妻の署名が必要になったんだ。
一週間後、ボクは人工子宮手術を受けた。
うふふっ、ボクが赤ちゃんを産むんだね。二人の愛の結晶。
少しずつ大きくなっていくボクのお腹。
そういえば、豊胸手術って、このためだったのかな？
あっ、今、赤ちゃんがお腹を蹴ったみたい。
生まれてくれるのが待ち遠しいな。
あなたは女の子？それとも男の子？
どっちだっていいんだよ、だってあなたは二人の愛の結晶だもの。
ボクは指先にキスして、その指を首元の結婚首輪に押し付けた。
銀色に輝く愛のしるし。
「愛しています、ご主女さま」
ボクは感謝を込めて、そっと呟いた。

【豊胸手術】
本文中で主人公は手術と言っていますが、現代の術式と異なり、外科的処置は脂肪やヒアルロン酸等を補助的に注入する程度で、主にＩＰＳ細胞やナノマシンを用いた遺伝子治療により、退化している男性の乳腺等を活性化し、女性と同じ様な乳房に進化させるものです。
この手術はかなりの優れもので、夫の出産後、乳もきちんと出ます。母乳ならぬ父乳といったところでしょうか。

【人工子宮手術】
女尊男卑のこの社会では、夫が人工子宮手術を受けて出産することが一般的になっています。
妻はいち早く業務に復帰でき、夫は自分が出産することで子育てに熱心になり、また、子供も夫に懐きやすくなる等、メリットが大きいのです。