???妄想ノート～奴隷を夢見る女の子???

５２．ヴィーナス誕生

今日はご主人さまと美術館デート。
 絵心のないあたしは、ちょっと退屈に感じていました。
でも、あの絵を見た瞬間、心を奪われてしまいました。

グブロー作：聖隷ヴィーナス
裸に首輪だけをつけた女性が、ご主人さまの愛の奴隷になって、天使達の祝福を受けている様子を描いた絵です。
 現在のパーフェクトスレイブの原型とも言われているのその絵は、裸なのにちっとも厭らしさを感じさせませんでした。
それどころか寧ろ気品と知性さえ感じさせ、下腹部のＳＬＡＶＥの文字が誇らしげに輝いて見えました。
 「素敵」
あたしは、もう全身が身震いしてその場に立ちつくしてしまいました。
 本当の感動ってこいう気持ちになるんだ。
そして、いつか公園の男子トイレで、ご主人さまが仰った言葉が思い出しました。
 『そのうち刺青にしてやろう』
 刺青なんてちょっと怖いけど、ご主人さまの望みはあたしの望み。
ご主人さま好みの女になりたい・・・

少し遅めの昼食は和食です。
 彼の脱いだ靴を揃えて、静々と彼の後ろをついていきます。
 和食のときって、礼儀作法が大切です。
それになんだか和食の高級店って、お店の人がお客さんを観察して値踏みしてるような気がするんです。
ご主人さまに奥の上座に座ってもらい、あたしは通路側の下座へ座ります。
はあ、落ち着く。
いつかのフレンチと違って、男性が上座の方がどっしりとしていて、あたしはなんとなく好きです。
お茶の継ぎ足しも、気の利いた女性であることをご主人さまだけでなく、お店の人にもアピール。
お茶汲みは女の嗜み。
それに、男の人にお茶だしするのって、何だかくすぐったくて嬉しい。
 女栄えて国滅ぶって言われた昔のＯＬの女性は、お茶だしを嫌がってやらなかったて言うけど、信じられません。
お茶だしって、楽しいのに。
お茶の濃さに気を使って順番に少しずつ淹れたり、男の人においしいって言われたら、恥ずかしくて嬉しかったり。

 自宅に帰っても感動が忘れられないあたしは、ご主人さまの前に跪いて請願のポーズを取りました。
 「あたしにタトゥーを入れてください。ご主人さまの奴隷である証を、あたしの体に刻んでください」

 鏡の中に裸で首輪をつけただけのあたしが映っています。
そしてあたしの秘所のすぐ上には「ＳＬＡＶＥ」のタトゥー、永遠に消えない二人の愛の証。
あたしは文字をそっと手でなぞります。
ご主人さまの奴隷は世界でただ一人、あたしはご主人さまのただ一人の奴隷。
 愛しています、ご主人さま。

【聖隷ヴィーナス】
グブロー作の絵画：聖隷ヴィーナスのことです。
全裸で首輪をつけた女性が天使の祝福を得て愛の奴隷になった瞬間を描いた近代絵画の傑作です。
パーフェクトスレイブの原型とも言われています。