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10.HOPE計画ヲ阻止セヨ~HYFLEX~
しおりを挟むJ-1ロケットを醍醐は見上げる。
HYFLEX
無人のリフティングボディ機を搭載しているのである。
全長:4.40m
全幅:1.36m
全高:1.04m
全備重量:1,054Kg
スペースシャトルの超小型版といったものだが、いかにも宇宙船といった風情の、素晴らしい機体だ。
「やっと、ここまで来た」
醍醐の胸に感慨深い気持ちが沸いた。
米国初の有人宇宙船マーキュリーが1,400Kgだったことを考えると、もう、有人宇宙船は実現可能ではないか?
そう、思わせる機体である。
既に、2年前のOREX(りゅうせい)で、日本初の大気圏再突入に成功している。
このHYFLEXが成功すれば、もう一息でHOPEの開発に着手できる。
「もう、一息だ、あと少しで日本も有人宇宙船を持てるんだ」
「HYFLEX、切り離し完了。順調に滑空降下しています」
「よし」
「現在、父島上空を大きく旋回中。順調に滑空飛行中」
「うむ」
「パラシュート展開・・・・・・まもなく着水します」
「よし、現場海域の回集船に座標を連絡、回収急がせろ」
現場海域、回収船甲板
「なんだ、あの船は、漁船にしては速すぎる」
国籍不明の漁船が、高速で落下地点付近から遠ざかっていく。
「パラシュート発見・・・・・・本体がありません。
フローティングシュートとライザが切断されています」
「なんだって・・・まさか、あの船が?」
北京中南海の某所
「日本が我が中国より先に有人ロケットを開発するのは許されない!」
「大丈夫です。再突入実験機を奪取しました。これで日本の開発は数年遅れるでしょう。
しかも、この技術をコピーすれば、我国の神舟計画もスピードアップできます」
「よくやった。これで我国は世界で3番目の有人ロケット開発国となるだろう」
日本の有人宇宙開発を妨害していたのは米国だけではなかった。
中国もまた、日本の有人宇宙開発は邪魔だったのだ。国家威信のために、いや面子の為というべきだろうか・・・
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