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初めての味
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「…もしかして食ったことねーの?」
「はい」
「はぁぁぁ!!!?」
きょとんとした顔で詩乃也の持っているコンビニ袋を見つめる波璃。あまりの衝撃に詩乃也は後ずさりをした。
「マジ、かよ…。どこまでお坊ちゃんなんだよ、お前」
「コンビニの存在は知ってましたけど、行ったことはないし売ってるものを食べたことはないんです」
「すげえな…ここまで来ると逆に感心するわ」
「そうですか?」
心做しか少し目を輝かせてコンビニ袋を見ている波璃に気付き、詩乃也は少し離れた所に腰かけた。そしてガサガサと袋の中を漁る。
「…なんだよ、食う?」
「えっ…」
「食ったことねーんだろ。ほら」
そして取り出したメロンパンを半分にちぎり、自分の分を頬張りながらもう片方を波璃に差し出した。目を大きくして驚いた波璃は恐る恐るそのメロンパンを受け取る。
「あ…、ありがとうございます」
「うまっ。やっぱメロンパン最強」
「いただきます」
「おう、こんな美味いもん知らないまま死んでくなんて勿体ねーからな」
「…!!お、美味しい」
波璃はパンを1口かじると、瞼をパチパチさせながらその味を噛み締めた。初めて食べるメロンパンに感動しているようだ。
「だろ?」
そして、その反応を見てなぜか得意気な詩乃也。波璃は嬉しそうに頷き、パンをどんどん頬張っていく。
「こんな美味しいもの初めて食べました…。家では基本フランスパンかパン・ド・カンパーニュくらいしか出ないので…」
「は?ド?ぱ、ぱにゅ?」
「…ふふ、分けてくれてありがとうございます」
一一一なんか、今度は子供が夢中で初めてのパンにがっついてるみてー…。普段あんな無表情でカッチリしてるこいつしか見てない奴らは想像できねぇだろうな。
「そういやお前…なんでこんなとこで昼飯食ってんだよ」
「え…」
「まーうちの学校、学食なんて大層なものはねーけど。弁当食うにしてもこんなとこ…もっと中庭とか屋上とかあるだろ」
「そうですけど…ここが落ち着くんです。誰からも視線を向けられないで1人でいられるから」
「は?」
「だから基本的にお昼はここで食べてます。誰かが来たのも初めてです」
「あー…悪かったな、来ちまって」
「いや、詩乃也くんは大丈夫です」
少しの距離を保ったままだが、この狭い階段の空間で2人だけ。波璃は膝に置いていた弁当を自分の横に降ろし、詩乃也の方を向いた。
「なんで俺は大丈夫なんだよ、むしろやべー奴…」
「だって詩乃也くんは僕の恋人だから」
「………ぶっ!!!」
「ですよね?」
あまりにも不意打ち。今まで忘れていたその事実を急に実感させられ、詩乃也は思わず飲みかけていたジュースを吹き出した。
「なっ…なんだよ急に!!ていうか形だけっつってんだろ!」
3角座りで頭をコテンと傾けながらそう言った波璃は、あまりにも綺麗だった。少し引き上げた口角も、その狙っていなさそうで狙っている雰囲気も。
先程までメロンパンに夢中でかぶりついていたとは思えない。
「形だけでも、恋人ですよ」
「はぁ…、もうそういうのいいっつーの!!つか、さっさと親父に話して終わらせろよな!条件それだろ!」
「…そうですね。でも、まだかな」
「はぁ?」
「今、父は仕事が立て込んでいて海外へ行ってるんです。話すのは落ち着いて帰ってきてからじゃないと、まず聞いてくれません」
「いつ帰ってくるんだよ」
「11月頃って言ってました」
「はぁぁ!?あと半年もあるじゃねぇか!はめやがったな!!」
「はい」
「はぁぁぁ!!!?」
きょとんとした顔で詩乃也の持っているコンビニ袋を見つめる波璃。あまりの衝撃に詩乃也は後ずさりをした。
「マジ、かよ…。どこまでお坊ちゃんなんだよ、お前」
「コンビニの存在は知ってましたけど、行ったことはないし売ってるものを食べたことはないんです」
「すげえな…ここまで来ると逆に感心するわ」
「そうですか?」
心做しか少し目を輝かせてコンビニ袋を見ている波璃に気付き、詩乃也は少し離れた所に腰かけた。そしてガサガサと袋の中を漁る。
「…なんだよ、食う?」
「えっ…」
「食ったことねーんだろ。ほら」
そして取り出したメロンパンを半分にちぎり、自分の分を頬張りながらもう片方を波璃に差し出した。目を大きくして驚いた波璃は恐る恐るそのメロンパンを受け取る。
「あ…、ありがとうございます」
「うまっ。やっぱメロンパン最強」
「いただきます」
「おう、こんな美味いもん知らないまま死んでくなんて勿体ねーからな」
「…!!お、美味しい」
波璃はパンを1口かじると、瞼をパチパチさせながらその味を噛み締めた。初めて食べるメロンパンに感動しているようだ。
「だろ?」
そして、その反応を見てなぜか得意気な詩乃也。波璃は嬉しそうに頷き、パンをどんどん頬張っていく。
「こんな美味しいもの初めて食べました…。家では基本フランスパンかパン・ド・カンパーニュくらいしか出ないので…」
「は?ド?ぱ、ぱにゅ?」
「…ふふ、分けてくれてありがとうございます」
一一一なんか、今度は子供が夢中で初めてのパンにがっついてるみてー…。普段あんな無表情でカッチリしてるこいつしか見てない奴らは想像できねぇだろうな。
「そういやお前…なんでこんなとこで昼飯食ってんだよ」
「え…」
「まーうちの学校、学食なんて大層なものはねーけど。弁当食うにしてもこんなとこ…もっと中庭とか屋上とかあるだろ」
「そうですけど…ここが落ち着くんです。誰からも視線を向けられないで1人でいられるから」
「は?」
「だから基本的にお昼はここで食べてます。誰かが来たのも初めてです」
「あー…悪かったな、来ちまって」
「いや、詩乃也くんは大丈夫です」
少しの距離を保ったままだが、この狭い階段の空間で2人だけ。波璃は膝に置いていた弁当を自分の横に降ろし、詩乃也の方を向いた。
「なんで俺は大丈夫なんだよ、むしろやべー奴…」
「だって詩乃也くんは僕の恋人だから」
「………ぶっ!!!」
「ですよね?」
あまりにも不意打ち。今まで忘れていたその事実を急に実感させられ、詩乃也は思わず飲みかけていたジュースを吹き出した。
「なっ…なんだよ急に!!ていうか形だけっつってんだろ!」
3角座りで頭をコテンと傾けながらそう言った波璃は、あまりにも綺麗だった。少し引き上げた口角も、その狙っていなさそうで狙っている雰囲気も。
先程までメロンパンに夢中でかぶりついていたとは思えない。
「形だけでも、恋人ですよ」
「はぁ…、もうそういうのいいっつーの!!つか、さっさと親父に話して終わらせろよな!条件それだろ!」
「…そうですね。でも、まだかな」
「はぁ?」
「今、父は仕事が立て込んでいて海外へ行ってるんです。話すのは落ち着いて帰ってきてからじゃないと、まず聞いてくれません」
「いつ帰ってくるんだよ」
「11月頃って言ってました」
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