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心酔⑤
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「…よく寝てる」
急に謝り出してしまった憂くんを落ち着かせるために、とりあえずベッドに寝かせた。取り乱していたようだけど、少ししたら徐々に落ち着いて眠りについた。寝息が聞こえてから1時間は経っている。
僕が好きだと言った途端、あんな風になってしまった。理由は分からないけど、憂くんの何かを刺激してしまったのかな。
とにかく落ち着いてよかった。あんな苦しそうなのが続かなくて。
「…ごめんね」
僕もそのままベッドに入って、憂くんと向かい合わせの状態で寝転ぶ。まつ毛が長くて、色白で綺麗な寝顔を見つめる。
もし、さっきのが感情が戻るきっかけだったら、嬉しいはずなのに…なにか辛いことを思い出して、また憂くんが苦しんでしまったらどうしようと思ってしまう。
もし、忘れている方が憂くんが苦しまないんだとしたら…。
「…ん、」
「あ…、起きた?」
ボーッと寝顔を見つめていたら、憂くんはピクリと目を開けて身動ぎをし始めた。
「あ、れ…俺寝ちゃって…」
「うん。1時間くらいかな。もう遅いしこのまま泊まってく?」
「…ううん、帰る」
もぞもぞと体を起こしながら目を擦る憂くん。寝起きでちょっとしんどそうなのに。
「でも…」
「…ごめん、迷惑かけて」
「迷惑なんかじゃ…」
「今日はありがとう、」
ベッドから降りて、鞄を手に取り憂くんは玄関へと向かう。慌ててそれについて行くと、憂くんはピタリと動きを止めた。
「…今は一緒にいない方がいいね、俺達」
「…え、なんで?」
「自分が何を言うか、何をしてしまうか、分からなくて怖いんだ…。きっと俺は叶羽くんのこと傷付ける」
「怖い…って、それ…」
「…っごめん、じゃあまた」
呆然としている僕を残して、バタンッと音を立てて閉まった扉。
今、確かに憂くんは怖いって言った。僕を傷付けることが…?前は街でガラの悪い人達に絡まれた時、何も恐怖を感じないって言ってたのに。
病気が治ったってこと…?
いや、だとしてもなんで憂君はあんな事を言ったんだ。しかも一緒にいない方がいいって。
あんなに辛そうな顔をして。
それは、僕の告白に対しての返事なの…?
分からない、何も分からないよ。
急に謝り出してしまった憂くんを落ち着かせるために、とりあえずベッドに寝かせた。取り乱していたようだけど、少ししたら徐々に落ち着いて眠りについた。寝息が聞こえてから1時間は経っている。
僕が好きだと言った途端、あんな風になってしまった。理由は分からないけど、憂くんの何かを刺激してしまったのかな。
とにかく落ち着いてよかった。あんな苦しそうなのが続かなくて。
「…ごめんね」
僕もそのままベッドに入って、憂くんと向かい合わせの状態で寝転ぶ。まつ毛が長くて、色白で綺麗な寝顔を見つめる。
もし、さっきのが感情が戻るきっかけだったら、嬉しいはずなのに…なにか辛いことを思い出して、また憂くんが苦しんでしまったらどうしようと思ってしまう。
もし、忘れている方が憂くんが苦しまないんだとしたら…。
「…ん、」
「あ…、起きた?」
ボーッと寝顔を見つめていたら、憂くんはピクリと目を開けて身動ぎをし始めた。
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「うん。1時間くらいかな。もう遅いしこのまま泊まってく?」
「…ううん、帰る」
もぞもぞと体を起こしながら目を擦る憂くん。寝起きでちょっとしんどそうなのに。
「でも…」
「…ごめん、迷惑かけて」
「迷惑なんかじゃ…」
「今日はありがとう、」
ベッドから降りて、鞄を手に取り憂くんは玄関へと向かう。慌ててそれについて行くと、憂くんはピタリと動きを止めた。
「…今は一緒にいない方がいいね、俺達」
「…え、なんで?」
「自分が何を言うか、何をしてしまうか、分からなくて怖いんだ…。きっと俺は叶羽くんのこと傷付ける」
「怖い…って、それ…」
「…っごめん、じゃあまた」
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今、確かに憂くんは怖いって言った。僕を傷付けることが…?前は街でガラの悪い人達に絡まれた時、何も恐怖を感じないって言ってたのに。
病気が治ったってこと…?
いや、だとしてもなんで憂君はあんな事を言ったんだ。しかも一緒にいない方がいいって。
あんなに辛そうな顔をして。
それは、僕の告白に対しての返事なの…?
分からない、何も分からないよ。
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