壊れて焦がれてそばにいて

ぱんなこった。

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惹かれて②

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着信画面には【店長】と書いてある。バイト先の店長からだ。バイトじゃない日にかかってくるってことは、シフトのことで何かあったのかな。

「はい、もしもし。お疲れ様です」

「もしもし!ごめん!原崎くん!今日さ…2時間くらい今から出れたりしないかな!?」

「あー……」

「シフト入ってた子が2人とも風邪引いたみたいで来れなくなっちゃって、、シフト入ってない時に申し訳ないんだけど、お願いできないかなぁ?」

やっぱりだった。バイトが2人も休みになって、しかも今日は金曜日だから人手が足りないんだろう。今日は特に予定もないし、今から2時間程度だったらいいか。

「いいですよ!多分今から準備して行くと着くの30分後くらいですけど……」

「ええ!ありがとう!!全然大丈夫!ほんと助かるーー!ごめんね!」

「いえいえ!はい、じゃあ失礼します」

電話を切ってベッドから起き上がり、床に転がっていたバイトのカバンを掴み上げた。顔洗って、髪の毛は軽く整えておこう。

「あ、そういえば…あのクラブ、僕のバイト先からそんな遠くなかったな。場所的に」

いやいや、さっきからさすがに気にしすぎだ。もう考えるのやめよう。元彼のブレスレットのことより考えちゃってる。

「…もう気にしない!いってきます」

そう呟いてから家を出て駅に向かった。

「おはようございまーす」

バイト先に着くと、店長は半ベソをかきながら笑顔で店内を走り回っていた。まだ混む時間じゃないけど、いつもに比べたら既に客の入りは良くて、店長含めてスタッフ3人しかいないし大変だったって言うのが伝わってくる。

「いやーー!原崎くん本当にごめんね!休みの日に呼び出しちゃって!!でも本当に助かったよーー!手当たり次第電話してもうダメかと思ったよーー」

「いえいえ、ちょうど何もなくてよかったです」

「本当ありがとー!まかない食べてってね!?あ、とりあえずオーダー溜まってるから僕キッチン入る!1人こっち来させるからホールお願い!」

「了解でーす」

エプロンをつけて全体的に見回すと、今日は割と若い男女が多い感じだ。いつもはサラリーマンとかの方が多いけど。

「え、行く?このあと行っちゃうでしょ?」

「いこーよ!今日イベントだし!」

近くのテーブルにいた2人の女子が目立つ声でそう話しているのが聞こえてきた。その内容からして、なにかこの辺りでイベントがあるみたいだ。だから今日は若いお客さんが多いのかな。

「私クラブとか初めてー楽しみ!」

「ね!楽しいよー!ここから割と近いし、イケメンもたくさんいるよ!」

ん?ここから割と近いクラブ…?まさか。
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