零下3℃のコイ

ぱんなこった。

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匂い

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日下部の家に来たのは、あの時以来だ……。
雪菜さんと話す練習をするために来た時。

あの日は光也さんに初めて会ったし、自分の気持ちも分からなくなってたけど。
でも今は違う。日下部と2人になりたくて触れたくて来たんだ……。

「どうぞ」

「お邪魔します……」

「今日も誰もいないから大丈夫だよ」

「う、うん…!」

前に来た時と変わらない家の中。相変わらずの高級感だけど、シーンとした空気感が少し寂しい。

「やっぱり、お父さんとお母さん全然帰って来てないの?」

「うん、忙しいみたいで帰ってない」

「そっか…」

「でも今は寂しくないよ。風音くんがいるから。毎日でも家に来てほしいくらい」

「まっ毎日家に来たら、流石に迷惑だろ」

「全然迷惑じゃないよ?あ、先に部屋行ってて。飲み物取ってくる」

「うん、ありがとう…」

毎日…毎日って!あいつは、毎日僕と会ってもいいって思ってるってこと!?
落ち着け、落ち着け。とりあえず部屋に入って……。

「……あ」

日下部の部屋の中も変わらず綺麗なままだけど、ベッドが少し乱れてる。それに寝巻きらしきパーカーも脱ぎ捨ててある。

慌ただしく起きた後って感じだ。

ちょっとドキドキするっていうか……これ、日下部が着て寝てたんだ……。

「…いやいや!そんな変態っぽいこと、、」

ダメだ、だめだと思いながら…ついついそのパーカーに手が伸びてしまう。

大きめの黒くて柔らかいパーカー。それを掴んで抱きしめて、鼻をスンスン鳴らすと、日下部の匂いがすごく僕の中に充満した。

こんなことしたら引かれるかもしれないのに…やめられない。

どうしよ、そろそろ放さないと…

ガチャッ

「風音くん、お待たせ。コーラでいい……」

「うわーーーー!!!」

「……え、それ僕のパジャマ?何して…」

「ここここれは!!違う!!」

コーラのペットボトルを2本手に持って戻ってきた日下部に驚いて、抱きしめていたパーカーをベッドに丸め込んだ。

パジャマの匂い嗅いでるとこ見られた……!最悪だ!!すぐやめればよかったのに!

「ちちち違くて!その……」

「今、僕のパジャマの匂い嗅いで……?」

「うわーーーー!!それは、えっと!その!!」

どうしよう、変態だと思われたかも……!
いやもう、匂い嗅ごうとする時点で僕って変態!?

「ご、ごめん……」

「何が?」

「つ、ついお前のパジャマの匂い、嗅いでて……」

うう、自分で言ってて恥ずかしい……!!
日下部引いたかな…?

「……風音くん」

ゴトッとコーラを机に置いた音が聞こえた後、日下部が近づいてきた。
恥ずかしくて顔上げれない……!

「は、はい……」

「顔上げて、こっち向いて」

「うぅ……でも、」

「いいから」

恐る恐る顔を上げた。
その途端……唇にあの感触がした。

「ん……っ!!」

え、キス……?何で今いきなり……!?

「ん……っ、はぁ……!」

舌が……!

口を開いた瞬間、日下部の舌が口内を犯すように入り込んできた。
保健室の時よりも激しい……!苦しい!!

僕の声と、舌が混じり合う音が部屋に響いてる……。

「ん…っはっ……ーー!まっ待って、、」

「待てない……」

「は、ぁ……!はぁ、なん、で……くるし……!」

「風音くんが、そんな可愛いことするから……」

「ぁ……!?んんっ……」

可愛いことって……?パジャマの匂い嗅いでたこと……?

「ん、!ふ……っぅう……」

ダメ、だ。やめてくれないし、口の中溶けそうだし、もう腰抜けそ……!

ドサ!!

「あ……っはぁは……」

「……っごめん、風音くんのために冷静にゆっくりしようと思ってたけど、無理」

足に力が入らなくなって、とうとう後ろにあったベッドにお尻から倒れ込んでしまった。
その上に覆い被さるようにして、僕の手首を掴む日下部。

「……み、見ないで」

「見たいよ、見せて」

「……っ恥ずかし、い」

「…っ大丈夫だよ。パジャマの匂い嗅いでたことなんか気にならなくなるくらい、恥ずかしいことするから」

「……へっ!?」

日下部の目つきが…オスって感じで、息も荒くてドキドキする……!
綺麗な顔なのに、前髪が乱れて頬も少し赤っぽい。

ていうか、キスでこんなに恥ずかしいのに今からどうなるの……?

「ひっ……ぁ!」

そんなこと考えてたら、ちゅっと音を立てて首に唇が触れる感覚がした。
くすぐったくて、無意識に体が跳ねてしまう。

「まっ……ぁ、待って……!」

「んー?」

そのまま、日下部は音を立てながら首の色んな所にキスを落としながら、シャツのボタンに手をかけた。

プチプチとどんどんボタンが外されていくし、僕の声聞こえてるはずなのに、全然待ってくれる気配がない。

「は、んん……くすぐった……から、ぁ、」

「うん、くすぐったいね」

「ぁっ……、まっ…て…!」

もう悶えている間にシャツが開いて、肌が露わになっていた。思わず手で体を隠してしまう。

「ぬ、脱ぐの…?」

「うん、手どけて」

「……っ」

手を優しく掴まれて、そっと退かされると…勢いよく胸の辺りにじゅっと強く吸い付く感覚がした。

「……一一一っ!?あっ」

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