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彼女のこと④
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校門付近で待っていると、ゾロゾロと生徒が男女共に出てきました。行き交う人を見ていきますが、びーちゃんらしき人は見当たりません。
キョロキョロしてるせいで少し不審がられていますが、構わずびーちゃんが出てきたかどうか確認しました。だけど、一向にそれらしき人は出てきません。
《まさか、もう帰っちゃったんでしょうか…?》
連絡も取れないし、学校にもいないとなると後は家…?でも家まで乗り込むのは迷惑かもしれません…。いや、恋人なら連絡取れなくなったら行ってもいいものなのか?どうしたら…。
そう頭の中で考えていた時。「花野ー!」と呼ぶ男子の声が聞こえてきました。
《花野…!?花野って、もしかしてびーちゃん!?》
すぐ近くでその声が聞こえたので、慌ててそちらに振り向きました。すると、男子が4人ほどワラワラと下駄箱から出てきています。いかにも陽キャという類の人達です。そのうちの1人が、黒髪の男子生徒に肩を組んで「花野花野!」と連呼しています。
《あれは…。同じ名字の人…?いや、待ってください。あの背丈に、ふわふわした黒髪、それにあの左腕につけてる腕時計は…》
花野と呼ばれている人は、男子の制服を着ています。あからさまに男子生徒です。でもすごく一致する部分があり、あの人がびーちゃんである可能性が出てきました。僕は咄嗟に校門の柱に隠れました。予想はしていたけど、いざ目の当たりにするとやはり少し動揺してしまいます。
すると、その集団はすぐに出てこずに校門の前で溜まっています。僕はすぐ近くにいたので、大きな話し声が聞こえてきました。
「花野ー、アレどうなったんだよ?」
「そーそーあれ!!まだ続いてんの?」
《アレとは…?》
「あの“賭け”ゲーム、男と3ヶ月バレずに付き合えるかってやつ!もうとっくに過ぎてるだろ?」
《えっっ…!ま、まさか…僕のこと…?》
「俺らは3ヶ月バレないに賭けたから3000円ゲットだもんね~!お前らは負けだけどな」
「もーーマジでよ!普通すぐバレると思うだろ?女子のフリして男と付き合うなんて」
《じょ、女子のフリ…。ってことは、やっぱりあの人はびーちゃんで…え?今の話だと、僕とは賭けのために付き合ってたってことですか…?》
周りはそう言ってガヤガヤ喋っていますが、びーちゃんらしき人は俯いたまま黙っています。
「てか、わざわざ他校の奴っていう条件つけるとかガチじゃん!」
「だってウチだとソッコーバレるだろ!でも、コイツまだその付き合ってる男と会ってるらしいぞ?」
「え!?花野もしかして本気で好きになっちゃったとか!?」
すると、冷やかされすぎたのか、「花野」と呼ばれている人は、とうとう口を開きました。
「…うるさい。もう帰るから、離せ」
その声を聞いて、僕は立ち尽くしてしまいました。少し低いけどその声がびーちゃんだったから。あんなに冷たい言い方は初めて聞いたけど、あの僕の好きな声です。
《やっぱり、あの人がびーちゃん…。いや、でもよりよりも、今賭けのこと否定しなかった…。ってことは、僕と付き合ったのは確実にそのため…》
あの人がびーちゃんだということよりも、僕と付き合ったのは賭けだったという事実の方がショックに感じているんだと、気付きました。頭をトンカチで殴られたような衝撃です。
「おーい待てよ、花野」
「……っ!わ、え、」
その集団は校門を出てきて、突っ立っていた僕はすぐに気付かれました。呆然としながらそちらを向くと、びーちゃ…花野…くんは、僕を見て目を大きく開いて驚いています。
「……えっ、えー…くん?な、なんで、」
キョロキョロしてるせいで少し不審がられていますが、構わずびーちゃんが出てきたかどうか確認しました。だけど、一向にそれらしき人は出てきません。
《まさか、もう帰っちゃったんでしょうか…?》
連絡も取れないし、学校にもいないとなると後は家…?でも家まで乗り込むのは迷惑かもしれません…。いや、恋人なら連絡取れなくなったら行ってもいいものなのか?どうしたら…。
そう頭の中で考えていた時。「花野ー!」と呼ぶ男子の声が聞こえてきました。
《花野…!?花野って、もしかしてびーちゃん!?》
すぐ近くでその声が聞こえたので、慌ててそちらに振り向きました。すると、男子が4人ほどワラワラと下駄箱から出てきています。いかにも陽キャという類の人達です。そのうちの1人が、黒髪の男子生徒に肩を組んで「花野花野!」と連呼しています。
《あれは…。同じ名字の人…?いや、待ってください。あの背丈に、ふわふわした黒髪、それにあの左腕につけてる腕時計は…》
花野と呼ばれている人は、男子の制服を着ています。あからさまに男子生徒です。でもすごく一致する部分があり、あの人がびーちゃんである可能性が出てきました。僕は咄嗟に校門の柱に隠れました。予想はしていたけど、いざ目の当たりにするとやはり少し動揺してしまいます。
すると、その集団はすぐに出てこずに校門の前で溜まっています。僕はすぐ近くにいたので、大きな話し声が聞こえてきました。
「花野ー、アレどうなったんだよ?」
「そーそーあれ!!まだ続いてんの?」
《アレとは…?》
「あの“賭け”ゲーム、男と3ヶ月バレずに付き合えるかってやつ!もうとっくに過ぎてるだろ?」
《えっっ…!ま、まさか…僕のこと…?》
「俺らは3ヶ月バレないに賭けたから3000円ゲットだもんね~!お前らは負けだけどな」
「もーーマジでよ!普通すぐバレると思うだろ?女子のフリして男と付き合うなんて」
《じょ、女子のフリ…。ってことは、やっぱりあの人はびーちゃんで…え?今の話だと、僕とは賭けのために付き合ってたってことですか…?》
周りはそう言ってガヤガヤ喋っていますが、びーちゃんらしき人は俯いたまま黙っています。
「てか、わざわざ他校の奴っていう条件つけるとかガチじゃん!」
「だってウチだとソッコーバレるだろ!でも、コイツまだその付き合ってる男と会ってるらしいぞ?」
「え!?花野もしかして本気で好きになっちゃったとか!?」
すると、冷やかされすぎたのか、「花野」と呼ばれている人は、とうとう口を開きました。
「…うるさい。もう帰るから、離せ」
その声を聞いて、僕は立ち尽くしてしまいました。少し低いけどその声がびーちゃんだったから。あんなに冷たい言い方は初めて聞いたけど、あの僕の好きな声です。
《やっぱり、あの人がびーちゃん…。いや、でもよりよりも、今賭けのこと否定しなかった…。ってことは、僕と付き合ったのは確実にそのため…》
あの人がびーちゃんだということよりも、僕と付き合ったのは賭けだったという事実の方がショックに感じているんだと、気付きました。頭をトンカチで殴られたような衝撃です。
「おーい待てよ、花野」
「……っ!わ、え、」
その集団は校門を出てきて、突っ立っていた僕はすぐに気付かれました。呆然としながらそちらを向くと、びーちゃ…花野…くんは、僕を見て目を大きく開いて驚いています。
「……えっ、えー…くん?な、なんで、」
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