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嫉妬
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「あ…そ、そ、そうですね」
この前見た通り、やはり人懐っこくてコミュニケーション力も高い夏希。その勢いに圧倒されていると、夏希は1歩ずつゆっくりと那月に歩み寄ってきた。
「ひっ…、な、なんですか、」
「んー?いや、なんか怖がられてるかなー?と思って」
「あ、え、えっと…」
「ああ!俺は怪しいもんじゃないからね!西高の生徒だし、本当に幼なじみに会いに来ただけだから!あ、でも不法侵入になっちゃうのかな?これ。黙っててくれる?那月くん!」
「…っは、は、はい」
一一一もう、なんか勢いがすごいし激流みたいに飲み込まれそうな感じ…。でも、そういえば男の人とこれだけ近くにいても前ほど酷くはならない。やっぱり少しずつ慣れてきたのかな…。
「ありがとうー!どう?俺のこと怖くなくなった?」
「あっ、は、はい。すいません、あの、怖がっちゃうのは…そ、その僕は男の人が全般に苦手で怖くて…」
「え!?そうなの!?」
「は、はい…。でもだいぶ良くなりました、前だったら今頃過呼吸とかで倒れてたと思います…」
「まじかー!そんな人いるんだね?じゃあ俺あんまり近付かない方がいいね?」
「え、あ…」
「大丈夫大丈夫!気にしないで!誰にでも何かしら事情はあるもんだし」
一一一あ、あれ?普通にいい人だ…。先輩と少し険悪だった時とはイメージ違うかも…。
「あ、ありがとうございます…」
「それよりさ!3年生の荻川って人知らないよね?ここによく来るらしいんだけどー、見かけてない?背高い黒髪の…」
「…っえ、あ、彩世先輩は…、ここに、い、いつ来るかは僕も分からないので…」
「……え?」
それまで友好的だった夏希は、その那月の言葉を聞いた瞬間、笑顔を消しぴくりと眉毛を動かした。突然空気が変わったことを那月も感じ取り、ごくりと唾を飲む。
「知ってるの?いろのこと。しかも彩世って名前で呼んでる」
「え…あ、は、はい」
「知り合い?どういう関係?何繋がり?」
「なっ、なに…繋がり…」
先程とは全く違う無表情の夏希に、思わず後退りをしてしまう。だが、その目はまるで那月をこの場から逃がさないと言っているかのような力強さだ。
「え、えっと…い、彩世先輩とは、少し前に知り合って…た、たまにここで会って話すくらいで…」
「…あ、へぇー。ここで?ふーん、だから中庭によく来てるのか。君と会うために?」
「い、いや!!別に、約束してる訳ではなくて…僕は元々ここによく来ていて、せ、先輩も、たまたま来るようになって…居合わせることがあるだけで…」
「…じゃあなに?ただの居合わせるだけの関係ね?仲がいいとかでもなく」
「え…」
急に威圧的な言葉と目線を向けてくる夏希。でも、那月はそれ以上にその言われた意味を考えていた。
一一一居合わせるだけの関係…?確かに先輩から見ればそうなのかな…、でも、でも僕は、いつの間にかここに先輩が来ることを待ってたし、期待してた。今胸がズキッてしたのは、居合わせるだけの関係って言われて…ショックだったから…?
「そうなんだよね?ねぇ」
「……っ」
「…いろは、俺のだから」
「え、」
「あんまり仲良くしないでくれる?」
ポケットに手を突っ込んだまま、夏希はじりじりと那月に近付き真近くでその顔を覗き込む。
「…っあ、あの」
「おい!!!」
その時、那月達の背後から男の大きな声が聞こえてきた。その呼び掛けに2人ともビクッと肩を揺らす。
一一一やばい、先生に見つかった…!?
恐る恐る後ろを振り向くと、そこにいたのは先生ではなく、眉間に皺を寄せた彩世だった。
「何してんだよ…、なつ!!」
この前見た通り、やはり人懐っこくてコミュニケーション力も高い夏希。その勢いに圧倒されていると、夏希は1歩ずつゆっくりと那月に歩み寄ってきた。
「ひっ…、な、なんですか、」
「んー?いや、なんか怖がられてるかなー?と思って」
「あ、え、えっと…」
「ああ!俺は怪しいもんじゃないからね!西高の生徒だし、本当に幼なじみに会いに来ただけだから!あ、でも不法侵入になっちゃうのかな?これ。黙っててくれる?那月くん!」
「…っは、は、はい」
一一一もう、なんか勢いがすごいし激流みたいに飲み込まれそうな感じ…。でも、そういえば男の人とこれだけ近くにいても前ほど酷くはならない。やっぱり少しずつ慣れてきたのかな…。
「ありがとうー!どう?俺のこと怖くなくなった?」
「あっ、は、はい。すいません、あの、怖がっちゃうのは…そ、その僕は男の人が全般に苦手で怖くて…」
「え!?そうなの!?」
「は、はい…。でもだいぶ良くなりました、前だったら今頃過呼吸とかで倒れてたと思います…」
「まじかー!そんな人いるんだね?じゃあ俺あんまり近付かない方がいいね?」
「え、あ…」
「大丈夫大丈夫!気にしないで!誰にでも何かしら事情はあるもんだし」
一一一あ、あれ?普通にいい人だ…。先輩と少し険悪だった時とはイメージ違うかも…。
「あ、ありがとうございます…」
「それよりさ!3年生の荻川って人知らないよね?ここによく来るらしいんだけどー、見かけてない?背高い黒髪の…」
「…っえ、あ、彩世先輩は…、ここに、い、いつ来るかは僕も分からないので…」
「……え?」
それまで友好的だった夏希は、その那月の言葉を聞いた瞬間、笑顔を消しぴくりと眉毛を動かした。突然空気が変わったことを那月も感じ取り、ごくりと唾を飲む。
「知ってるの?いろのこと。しかも彩世って名前で呼んでる」
「え…あ、は、はい」
「知り合い?どういう関係?何繋がり?」
「なっ、なに…繋がり…」
先程とは全く違う無表情の夏希に、思わず後退りをしてしまう。だが、その目はまるで那月をこの場から逃がさないと言っているかのような力強さだ。
「え、えっと…い、彩世先輩とは、少し前に知り合って…た、たまにここで会って話すくらいで…」
「…あ、へぇー。ここで?ふーん、だから中庭によく来てるのか。君と会うために?」
「い、いや!!別に、約束してる訳ではなくて…僕は元々ここによく来ていて、せ、先輩も、たまたま来るようになって…居合わせることがあるだけで…」
「…じゃあなに?ただの居合わせるだけの関係ね?仲がいいとかでもなく」
「え…」
急に威圧的な言葉と目線を向けてくる夏希。でも、那月はそれ以上にその言われた意味を考えていた。
一一一居合わせるだけの関係…?確かに先輩から見ればそうなのかな…、でも、でも僕は、いつの間にかここに先輩が来ることを待ってたし、期待してた。今胸がズキッてしたのは、居合わせるだけの関係って言われて…ショックだったから…?
「そうなんだよね?ねぇ」
「……っ」
「…いろは、俺のだから」
「え、」
「あんまり仲良くしないでくれる?」
ポケットに手を突っ込んだまま、夏希はじりじりと那月に近付き真近くでその顔を覗き込む。
「…っあ、あの」
「おい!!!」
その時、那月達の背後から男の大きな声が聞こえてきた。その呼び掛けに2人ともビクッと肩を揺らす。
一一一やばい、先生に見つかった…!?
恐る恐る後ろを振り向くと、そこにいたのは先生ではなく、眉間に皺を寄せた彩世だった。
「何してんだよ…、なつ!!」
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