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幕 間
しおりを挟む病気らしい病気もせず、70年以上も生きてきたのに、人生の終盤で厄介な病気に見舞われた。アルツハイマー型認知症。物忘れがひどくなったのは加齢のせいだと思っていたが、MRIによって海馬《かいば》が委縮していることが確認された。
認知症をわずらっている人は、全国に600万人以上にのぼるらしい。
俺は普通に日常生活を送られているので、さほどショックはない。
いや、本音を言えば、大変なショックである。この病気のせいで、半世紀以上も続けてきた仕事を辞めねばならないのだ。せめて、最後の花道を飾らせてほしい。心の底から、そう訴えた。
ありがたいことに、息子と仲間たちは俺の我儘《わがまま》を受け入れてくれた。
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