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〈ベルリンの壁〉②

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「父が『正月には必ず、帰ってこい』って言うんです。帰ってこないと、親子の縁を切る、とまで言われました」
「それは何とも、頑固そうなお父さんだね」

「ええ、頑固の中の頑固。私の都合なんかお構いなしです」
「なるほどね。じゃあ、いいんじゃない。実家に帰らなくても。勘当したいなら勘当してみろって開き直ってさ」

「えっ、それでいいんですか? 私、何も話さなくていいから、ちょっとだけ顔を見せてみたらとか、そんな風に言われると思っていました」

「ああ、それが模範解答かもね。でも、僕って、模範的なパーソナリティじゃないからさ」
「ふふっ、そんなアンディさんだから信用できるし、本音で話せます」

「我慢して溜め込むのはよくないよ。僕はそれで一度、身体を壊しているからね。思っていることはドンドン吐き出して、相手にぶつけなくちゃ」

「それって暗に、父に本音でぶつかれって言ってます?」

「えっ、はははっ、どうだろね。年の初めにスッキリするのもいいと思うよ。正月から波風を立てるなって考え方もあるけどさ」

「……そうですね」

「僕は自分が父親と向き直っていないから、えらそうなことは言えないんだよ。あとはベルリンさんの判断に任せる。どうだろう。こんなところで」

「わかりました。ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとう。何か進展があったら、ハガキかメールで報告してよ。じゃあね」
「はい、必ず報告します。じゃ、失礼します」
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