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溺れる身体Ⅲ④
しおりを挟むレイカさんほど心を魅かれた人はいない。1年4ヵ月の間に、彼女から多くのことを学んだし、社会勉強という意味でも大きな影響を受けた。
やけに視界がぼやけるな、と思ったら、僕は涙を流していた。今更ながら、失ったものの大きさに打ちのめされる。心に震えがきて、足元がぐらついた。
僕は廊下に膝をつき、両手をついてしまう。身体に力が入らず、しばらく立ち上がれなかった。
そんな僕を見て、レイカさんが駆け戻ってくる。僕を強く抱きしめる。視線がからみ合い、唇を交わす……。といった夢想を思い描いたけれど、現実は残酷で冷ややかだ。
僕は自分を叱咤して、両脚に力を込めて立ち上がる。
*
お世話になった常連さんに別れを告げる2週間が始まった。キャストは通常、いきなり辞めてしまう。HPに別れの挨拶を書き込むことはあっても、直接会ってお別れをすることはほとんどないらしい。
日名子さんとは初めて、シナリオなしでプレイを行った。馴染みのコールボーイとの最後のセックス。ありのままのシチュエーションで交わったのだ。それはとても新鮮で、日名子さんはいつも以上に燃えた。
燃えたという点では、良恵さんも勝るとも劣らない。深夜、六本木ヒルズの外れにある児童公園で、僕たちは交わった。気温5度でのプレイだったけど、寒さを忘れるほど激しく快感をむさぼり合った。
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