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溺れる身体⑧
しおりを挟むバリエーションをつけながら、愛撫を執拗に続ける。カズが呻きながら、身体を反り返らせた。いつのまにか、攻守が逆になっている。口内のバナナがふくらんだと思ったら、それは突然やってきた。
欲望の放出される瞬間を、僕は粘膜で味わった。ドクドクと果てしなくあふれてくる感じだ。カズは脚を突っ張らせ、繰り返し腹筋を震わせている。
僕は高揚感と達成感に包まれた。口でいかせた時の女性の気持ちが少しわかった気がする。同時に男性を愛する男性の気持ちも。
カズは情欲と羞恥心が交じり合った表情を浮かべていた。そんなカズが、とても可愛らしく思えた。
僕はカズが見ている前で、彼の欲望を飲み込んだ。口の端から一筋垂れたが、拘束されている僕には拭うこともできない。
「どうっすか、俺の味は」カズが顔を近づけてきて、舌を使って舐めとってくれた。
「苦いっすね。俺の心と同じっす」カズはテーブルから飛び降りた。
「俺はマジ、シュウさんが好きでしたよ。けど、愛情ってやつはちょっとしたことで、たやすく憎しみに変化するんすね」僕に背を向けて、床に脱ぎ捨てた服を身につけ始める。「惚れた弱みとはいえ、マジつらいっすよ。俺をここまで追い込んだってこと、胸に刻み込んでくれますか」
僕は神妙な顔で頷いた。
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