裸のプリンス【Ｒ１８】

裏切り愛⑩

「そうだ。タクマさんの常連さんのお相手をする時のために、タクマさんの抱き方を教えてもらえませんか？」
「それは難しいな」タクマさんは肩をすくめた。
「もしかして、企業秘密ですか？」

「いや、そうじゃない。教えにくいということだ。基本的な抱き方があるにはあるが、そんなものは相手によって、まるで変わってしまう」
「あ、やっぱり、そうなんですね。僕も同じです。お客様のお好みや趣味嗜好によって、抱き方を変えますから」

「シュウのことだから、お客様ごとにメモを作っているんだろうな。いや、服装から会話まで網羅したデータファイルかな」図星だったので、僕は笑って誤魔化した。
「あの、くどいようですが、タクマさんの基本的な抱き方について、訊いても構いませんか？」
「そんなに知りたいのか？」
「ええ、勉強させてください」
「口で説明してもわからないだろう。何なら、身をもって体験してみるか？」
「えっ？」

　タクマさんはブルゾンを脱ぎ、綿シャツのボタンを外し始める。

「男相手はめったにしないんだが、可愛い後輩の頼みには応えてやらないとな」そう言いながら、上半身を露にする。「脱げよ。抱いてやるよ」