77 / 248
淫らな果実⑥
しおりを挟む薄暗くて、埃っぽい階段を上がっていく。ここはおそらく、〈いきつけのお店〉ではない。何のために入ったのか、良恵さんの上気した顔を見れば明らかだった。他人に見られるかもしれない場所で、事に及ぶつもりだ。
良恵さんは三階までくると、迷いもなく目の前のオフィスに入っていく。幸い、人影は見当たらない。オフィスといっても、デスクやキャビネットはない。窓際に古びたソファが一台あるだけの、空っぽのフロアである。
良恵さんは部屋の真ん中で振り返り、僕の胸に飛び込んできた。情熱的に唇を求めてくる。たっぷり5分は舌をからめ合っていた。密閉された蒸し暑い室内で、僕たちは汗まみれになってしまう。
良恵さんが一息ついたところで、密着していた身体を少し離した。
「良恵さん、ここではマズイです」
僕を見上げる眼は、すっかり情欲に染まっている。僕の右手をとって、左の水蜜桃に触らせた。
「もう我慢できないの。早く鎮めてちょうだい」
「すいません。御要望に応えるには、場所を変えていただかないと……。タクシーを捕まえて、ホテルに戻りましょう」
良恵さんは耳を貸さない。首後ろのワンピースのホックを外し、ジッパーを下ろす。身体に貼りついたワンピースを、果物の皮をむくように脱ぎ捨ててしまった。驚いたことに、下には何もつけていなかった。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる