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ケダモノプレイ③
しおりを挟むエレベーターが目的の階に到着し、ドアはゆっくりと開いた。清掃の行き届いた廊下は、幸い無人である。宅配便業者に扮しているので見られても構わないが、誰にも会わないことに越したことはない。
もちろん、日名子さんに対する妙な噂を立てさせないためだ。
廊下を歩いていて、ふと違和感を覚えた。かすかに甘い香りが鼻腔をくすぐったのだ。おそらく、男性用のコロンだろう。珍しい香りではないが、これまでにこの場所では嗅いだことは一度もない。化粧品のセールスマンでも来ていたのだろうか。
まぁ、どうでもいいことだ。指定時間ぴったりに、日名子さんの部屋に着いた。
僕は頭の中で「よーい、スタート」と唱えて、チャイムを鳴らした。
「ヒカリ宅配便です」インターホンに伝える。
「はぁい、今、開けまぁす」
目の前のドアが開き、ワンピース姿の日名子さんが僕を見上げた。小柄でふっくらとした40代の女性だけど、派手な目鼻立ちのせいで年齢より若く見える。
にっこり笑うと現れる目元の小皺を僕は可愛らしいと思う。
「御苦労様」
「受け取りをお願いします。サインでも結構です」
僕は日名子さんに、小さな段ボールを渡してから、受取証とボールペンを差し出した。
日名子さんは受け取った段ボールの上で、受取証にサインする。155センチの彼女は、僕より頭一つ小さい。大きく開いた襟ぐりから、豊かな水蜜桃が覗いていた。肌が真っ白なせいで、青い静脈が透け見えている。
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