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ケダモノプレイ①
しおりを挟む僕は本名とは別に、シュウという名前をもっている。
名付け親は、レイカさんだ。語感の良さからつけたらしい。最初は新しい名前に戸惑ったけれど、一年も経つと流石に慣れた。
シュウという人格は、僕でありながら、本当の僕ではないと思う。コールボーイはお客様の相手を務める以上、少なからず演技が必要だ。
この一年間、多くの女性とデートをして、買い物や食事に付き合い、ベッドの上で喜んでもらってきた。僕は役者ではないし、器用でもないので、お客様の理想像を完璧に演じることはできない。自分にないものを演じるのは、どうしても違和感がある。
そんなことを考えながら、虎ノ門にある高層マンションに辿りついた。今回の派遣先は、ホテルだけではなく、お客様の御自宅である。日名子さんからは、これまでに15,6回ほど指名を受けている。
だけど、多くの注意点があるので、未だに緊張してしまう。清掃のいきとどいたエントランスで、いつものように日名子さんの部屋番号をテンキーに入力する。
「はぁい、どなたぁ?」少し舌足らずの可愛らしい声が応じた。
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