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おわりに
しおりを挟むバブル崩壊から数十年の時間が経ちましたが、テレビ業界のバブルはその後もこっそり続いていたように思います。もちろん、ヒエラルキーの上位にあたる一握りに限っての話であり、末端の僕たちにはまったく実感のない話です。
それでも、テレビ局も赤字を出す時代となり、本格的な制作費削減が開始されました。具体的に言うと、会議の場に用意されていた飲み物や軽食がなくなり、最終的にはメンバーが持参するようになりました。タクシーチケットも原則廃止になったため、終電がなくなる前に退社するよう徹底されています。
制作フロアに目を移すと、「経費削減」と大書きされた貼り紙があり、上層部が必死になっていることがうかがえます。末端の経費を気にするより、新聞を読んでいるだけで一千万以上の年収をもらっている人材を切る方が、はるかに効果的だと思うのですが、まぁ、大人の事情があるのでしょう。
立場の弱い契約社員は、上層部の横暴によって、酷い目に合わされることが少なくありません。ためこんだストレスは吐き出さないと、くたくたに疲れ果て、働く意欲を失ってしまいます。僕は能天気なので、落ち込んでも一晩寝れば復活するのですが、若手スタッフは無気力無関心に陥り、ため息ばかりついています。
まるで「プチ鬱」状態です。こうなると、やる気が出ないし、目の前の仕事に立ち向かえず、成果も出せないという悪循環に陥ります。そんな時こそ開き直って、自発的に企画提案をするなど、攻めに転じるべきなのですが、若手には難しいようです。
仕事のストレスは仕事で解消するようにしないと、業界の仕事は長続きしないのです。これはおそらく、業界以外でも同じことでしょう。
仕事は食べるためだけに行うのではなく、誰かの役に立つために、何かをつくりあげるために、何かを表現するために行いたい。そうすれば、おのずと達成感が味わえるはずです。そして、心地好い充実感に包まれつつ、明日への活力をチャージするために、眠りにつく。
そんな日常を繰り返し送っていきたいと、僕は切に願うのです。
了
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みんなの感想(1件)
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引き続き、共感しながら読ませていただきます!
コメントをありがとうございます。楽しんでもらえたら、作者冥利に尽きます。