テレビハラスメント

霊能者さがし②

　Ｃ氏は多忙である中、僕に会ってくれたのですから、テレビに関心があるはずです。先方の苦言をうまく切り返して、こちらの意図を誠心誠意伝えれば、交渉はスムースに進むはず、という確信がありました。

　もし、Ｃ氏が僕のことを霊視し始めたなら、「信じられません。大当たりです」と、演技をしなければいけません。それだけが心配だったのですが、それも杞憂きゆうに終わりました。

　こうして、Ｃ氏との面談は無事終了。大急ぎでまとめた資料をＰに提出しました。トントン拍子に話が進んで、Ｃ氏による心霊ドキュメンタリーを制作することになりました。幸い、高視聴率を記録して、続編も制作されたのです。

　ただ、Ｃ氏も先のおばさん霊能者と同じく、条件面の要求を出してきて、あまり長続きはしませんでした。

　実は、霊能者のテレビ出演は、デメリットも少なくないのです。霊能者の世界で文句を言われたり妬まれたり、時には、税務署の査察を受けたりもします。テレビに出ているし、儲かっているだろう、と目をつけられてしまう。テレビ出演のメリットがデメリットを上回るかどうかは、微妙なところなのです。

　こうした心霊ドキュメンタリー番組もブームが去り、代わってスピリチュアル番組が登場しましたが、こちらも終焉を迎えたことは、皆さんも御存知の通りです。