テレビハラスメント

坂本 光陽

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リサーチャーの独り言

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 前にも述べたように、僕はリサーチという仕事をしています。テレビ番組の制作に必要な一切合財の情報収集、という仕事です。

 駆け出しの頃は本当に悲惨でした。鬼のようなPやDから、口では言えないような理不尽な扱いを受けていました。低視聴率で打ち切りになったバラエティ番組に参加していた時、こんなことを言われました。

「視聴率がとれないのは、面白いネタを探せないリサーチャーのせいだ」
と、僕を名指しで責め立てたのです。すべての責任を立場の弱いリサーチャーに押し付ける。いわゆる、スケープゴートにされたのです。満足なリサーチ結果を出せなかったことは事実なので、僕は何も言い返しませんでした。

 本音を言えば、PやDの発注内容が無謀なのです。彼らが探してこいと言ったのは、
「女房に尻に敷かれていて月一万円以下の小遣いで過ごしている旦那」とか、
「ペットの食費だけで月百万円以上を費やしている金持ち夫婦」とか、
「デイトレーディングで年間数千万の利益を上げている不登校学生」とか、なのですから。

 しかも、時間がないから半日で見つけ出せ、と言うのですから無茶苦茶です。一億円宝くじが当たるほど、ツキがなければ見つかりません。そして、見つけられなければ、罵詈雑言ばりぞうごんの嵐。その上、さらに無茶な発注を言い出す始末です。まさに、悪夢の悪循環でした。

 そんな時、リサーチに関することならまだしも、態度が悪いだの言葉遣いがなってないだの、人格まで否定されたりします。こちらに弁明の余地は与えられません。

 ある時、僕は達観しました。
 リサーチの仕事で褒められてもけなされても、一喜一憂をしないぞ、と。

 命をとられるわけじゃないのだから、ボロクソに言われても右から左へと聞き流す。
 もし褒められても、相手が認めたのは結果だけであって、僕には無関係、それを誤解して舞い上がったりしない。

 クールすぎますかね、こんな考え方。
 まぁ、仕事内容は番組やスタッフが変われば違いますし、悪い現場もあれば良い現場もあるということです。そこで、他のリサーチャーの話も聞いてみることにしましょう。
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