テレビハラスメント

坂本 光陽

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仕事のできないAD②

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 彼女は、友人として見れば、天然の入ったかわいい女の子です。しかし、ADとしては、現場の足を引っ張り、制作進行に支障をきたす、という爆弾娘でした。

 ある時、野良猫を集めるという番組ロケがあり、彼女は前日の深夜、サンマを焼き始めました。しかし、料理の経験がないため、ただ魚を焼くだけという作業に、明け方までかかってしまいます。それから爆睡をしてしまい、ロケには大遅刻、結局、撮影はサンマなしで行われました。

 その上、現場に到着した彼女は、メイクをしていました。それを見たDは大激怒です。
「なにメイクをしてやがんだ! スッピンのままで一分でも早く来んか!」

 彼女は結局、一人前のADにはならず、スタッフに散々迷惑をかけてから、会社を辞めていきました。まだ業界にいるのですが、おそらく周囲に迷惑をかけていることでしょう。

 そういえば、Dになるために上京し、アパートを決めるより先に制作会社にやってきた、という新人ADがいました。彼は大きな夢を抱いて業界に飛び込んできたのでしょうが、その気持ちをいつまで持ち続けることができるのか? 彼はいつか、自分の企画した番組を制作することができるのか?

 彼の将来に幸あれ、と願わずにはいられません。
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