テレビハラスメント

坂本 光陽

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リサーチャーの独り言①

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 僕がテレビ業界に入った理由は、「なりゆき」だったといえます。確かに、小さい頃からテレビは大好きでしたが、何が何でもテレビ業界で働きたいとは考えていませんでした。ただ漠然と、「クリエイティブな仕事がしたい」と考えていただけです。

 大学卒業後、僕が就職したのは、紙袋や紙函の製造販売会社でした。最初は営業でしたが、やがて広告宣伝に転属。そこで、紙袋や紙函を大手企業に売り込むため営業ツールとして、ビデオ制作に取り組みました。
 前例のない仕事のため、自分一人でシナリオを書き、撮影を行い、編集、音入れをしていたのです。次第に欲が出てきて、ドラマ仕立てのビデオ映画を作りはじめました。同僚たちを引きずり込み、オリジナル短編映画を作ったことは、懐かしい思い出です。

 当時はテレビドラマブームで、脚本家が脚光を浴びていた時期でもありました。プロの脚本家になるためには、シナリオコンクールで賞をとる以外に、テレビドラマのプロットライターとして経験を積むルートがあります。ギャラは驚くほど安いのですが、当時の業界にはプロットライターのニーズがいくらでもありました。

 僕は思い切って脱サラ。伝手つてをたどって、運よく、テレビ番組制作会社にもぐりこみました。つまり、包装業界から放送業界への転職というわけです。いきなり連続ドラマに関わって、プロットを任されたりエンディングロールで自分の名前が流れたりして、幸運なスタートを切ることができました。

 しかし、プロットライターの仕事だけで食べていくことはできません。そこで、制作会社の紹介で、リサーチの仕事をすることになりました。リサーチとは、番組制作に関わる一切合財の情報収集という仕事です。レギュラーの仕事がいくらでもあるため、スポット的なドラマより格段に、ギャラが安定していたのです。
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