9 / 36
幸運と無理難題④
しおりを挟む真希さんは、私の反応のにぶさから、こちらの思考を読みとったのか、
「確かに、年配者が多いね。でも、考えてみて。彼ら彼女らに頼んで、イケメンで有能なお弟子さんを紹介してもらう手はある」
「なるほど。でも、それって、かなり地道な作業ですね」
「リサーチは常に、地味な作業の積み重ねだよ。だから、見つかった時は半端なく快感なんでしょ。あっさり見つかったら、ちっとも面白くないじゃない」
「いえ、あっさり見つかって欲しいです」
「それなら、イケメン霊能者への最短ルートを見つけ出すことだね」
「最短ルート? それって、例えばどんな?」
「イケメンってファクターからアプローチするなら、元タレントとか元ホストという経歴から探っていく手だね。そうそう、確か、半年前に同じようなリサーチ依頼があったはず。深夜番組の新企画案で、結局、没になっちゃったけど」
お、真希さんは続いて、ダブルクリップでまとめたリストを出してきた。
これは期待できるのでは。やっぱり、もつべきものは、有能かつ優しい先輩だね。
リストの一枚目に、早速、細面に切れ長の目をもつ茶髪男の顔写真。
この爽やかな笑顔なら、文句なし、おば様受けも期待できるだろう。
「そうね、一番のお勧めは彼かな。ホスト経験もあるからトークとサービス精神に関しては問題クリアでしょ」
茶髪男の名前は、桐生晋之介。28歳。本業は、除霊相談と占い。
恵比寿に個人事務所をもち、依頼人の相談を受けている。全国どこへでも出張し、週イチで渋谷の占いハウスに出店、と。
「ルックスといい、仕事ぶりといい、バッチリじゃないですかぁ!」
「あと確認すべきことは、霊能者としての信用性だと思う。過去の除霊エピソードなどを聞き出すことが必要だろうね」
そう、テレビで扱う以上、この男は本物だ、この人の言うことは信用できる、という客観的な裏付けも必要なのだ。
「わかりました。早速電話をしてみます」
リサーチというのは勢いだ、というのは真希さんの弁。
チャンスの糸口は即たどって、いけるところまで突き進むこと。
リサーチの神様は気まぐれなので、糸口なんてすぐ消えてしまうからね。
0
『夢みる乙女の5K仕事』の御閲覧をありがとうございました。もし、少しでも気になったのなら、どうぞ「お気に入り」登録をお願いいたします。お気軽に楽しんでもらえれば幸いです。ライト文芸大賞にも参加しておりますので、よろしければ応援のほど、お願いします。
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
純情 パッションフルーツ
坂本 光陽
ライト文芸
大学生の深水駿介は、マザコンを自覚している。幼馴染の香里にからかわれても気にしない。何といっても、女手一つで育ててくれたのだ。日頃はそっけない態度をとるものの、エリさんのことは心から尊敬している。そんな駿介に、とても気になる女性が現れた。作家であるエリさんの担当編集者,魅子さんである。彼女は7つも年上だけど、天然気味で、小動物のように可愛らしい。ただ、実は、片想いになることが運命づけられた相手だったのだ。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる