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イカピラフくん探し④
しおりを挟むこの方法じゃダメかと諦めかけた時、針金の先に何かに引っ張られる感触があった!
「来た来たっ、やっと来たっ!」
そう叫んだ直後、足元の地面が消えた。ズルっという音とともに、2本の針金を空に投げ上げて、私の身体は草むらに隠れていた斜面を転がり落ちていった。
意識を取り戻した時、やけにまぶしいと思ったら、私の顔に木漏れ日が当たっていた。幸い、雨は止んだようだ。
背中や肩、膝など、身体のあちこちが痛む。転がり落ちたのは5メートルほどだったが、急斜面を登るのに一苦労だった。泥の中を三歩上っては、二歩分を滑り落ちてしまう。
また斜面を転がり落ちて、水溜りの中に尻餅をついてしまった。もう泣きそう。全身泥まみれの上に、下着まで水浸し。四つん這いになって呻いていると、目の隅でキラリと何かが光った。
針金ハンガーで作った即席ダウジング棒だ。その一本が斜面に突き刺さり、木漏れ日を受けている。その脇にはポッカリ開いた大きな穴。人が潜り込めるぐらいだから、穴というより洞窟か。
奥の方を覗き込むと、薄暗い空間の中で、何かがキラキラと光っている。洞窟に木漏れ日が差し込むように身体の位置をずらすと、それが何と、目指す宝の山であることがわかった。
木漏れ日がスポットライトのように照らしているのは、缶,缶,缶の山である。
「み、み、見つけたーっ!」
私は洞窟の中に潜り込んで、幻の缶を探し始めた。ビール、ジュース、魚や果物など、多種多様の空き缶の宝庫だった。缶マニアさんを連れてきたら卒倒するかもしれないほど。見たことのないデザインばかりなのは、70年代のブツだからだろう。
平べったい空き缶はないか? イカピラフくんはどこにいる?
「幻の缶、幻の缶、お願いだから幻の缶」
手当たり次第に空き缶を拾い上げ、確認しては投げ捨てる。違う。違う。これも違う。でも、ある予感があった。絶対に見つかる、という根拠のない確信だ。
そして、その時がやってきた。洞窟の奥の方で、「ピカーッ!」と輝く一つの缶。
おそるおそる手を差し延べて、缶にこびりついていた土を取り除きながら、洞窟を這い出る。すると缶の表面に現れたのは、真っ赤なイカのキャラクター。写真と全く同じだ。
「見つけたーっ! 会いたかったよ、イカピラフくん!」
私は黄昏の光の中で、幻の缶を両手で天に差し上げた。
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