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マニアさん捜し②
しおりを挟むとりあえず、六本木駅まで歩いて、馴染みの大型書店で雑誌を立ち読みした。
しかし、マニアさん探しに参考になりそうな記事は見つからない。もし見つかったとしても、これも雑誌記事なのだから、自分の目と耳で探したことにはならない。
そこで、東京メトロ日比谷線に揺られて、霞が関駅で下車。徒歩五分の日比谷図書館に行くつもりだったが、急遽予定を変更。日比谷公園のベンチで、ソフトクリームを堪能する。リストラ社員気分でコーンを小さくちぎっては、鳩の皆さんにおすそ分け。
野外小音楽ホールで警視庁音楽隊の演奏を見ていたら小腹がすいたので、日比谷図書館の地下にある食堂でトン汁定食に舌鼓を打った。
私は明確な目的意識もなく、漠然と歩き回っていた。探しているのが一体何なのか、おぼろげなイメージすら描いてない有様だ。こんな状態で見つかるわけがありません。私のアンテナは錆びついているか、見当違いの方向を向いている模様。
自分の目と耳で探すったって、雑誌記事やネット情報だって、私の目と耳でキャッチした情報に違いはないのにさ。初々しい新人にないものねだりは困るよ。なんて愚痴をこぼしていても始まらないか。
陽が傾いて、あたりが黄昏色に染まる頃、私は銀座の裏通りをテクテクと歩いていた。
突然、異世界の人々が目に飛び込んできた。緑の髪から突き出たネコ耳。太鼓腹のスパイダーマン。肌の荒れたセーラー服戦士。両手に紙袋を提げた猫背の赤い彗星。近くまでタクシーで乗りつけたのだろうが、銀座の街角で浮いている四人組である。
どこに行くんだろう。銀座の真ん中でコスプレパーティか? こっそり後をつけると、四人組は中華料理店と花屋に挟まれた店に吸い込まれた。
ダイニングバー・LOCUS。本日貸切のプレートが下がっている。秋葉原でも晴海ふ頭のコミケでもなく、銀座に集う彼らは一体何なのか? 仕事としてではなく、極めて個人的な好奇心をかきたてられる。
どうしたら違和感なく、スムースに店内に入れるだろう。しばし腕を組み考える。
やっぱり、コスチュームプレイしかないでしょう。じゃ、手間とお金のかからないコスって何?
辺りを見回すと、愛くるしい象のキャラクターが、古びた薬局の店頭でユラユラと首を振っていた。私の脳裏で、一つのアイデアが閃いた。
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