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マニアさん捜し①

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 がっくりきた。モチベーションメーターは最低値。デスクでぼんやりしていたら、パソコンと格闘中の真希さんから注意された。
「ねぇ喫茶店かどこかに行ってきなよ。横でダラダラされると、ムカツくんだよね」
 少し前に無能なDに摑まって、苛立っているみたいだ。

「はぁ」
 私の本日十数回目の溜め息。真希さんも伝染したのか、大きな溜め息をついて、
「たぶん雑誌記事なんて、とっくの昔に調べ終わっていたんだよ。それに雑誌記事はあくまで目安。それをとっかかりにして、自分の感性で更に掘り下げなくっちゃ、リサーチしたって言えないでしょ」

 そうか、私ったら掘り下げてなかったんだ。でも掘り下げるって、どういうこと?
「最近じゃ、ネット情報をコピーアンドペーストした資料を平気で提出するバカ野郎もいるしね。その程度の仕事で金をもらおうって了見が気に食わない。ミルコも雑誌記事なんかに頼らずに、自分の目と耳でネタを拾ってきなさいよ」

「その自分の目と耳で探すってこと。水島さんにも言われたんですけど、それってどういうことですか?」
「文字通りの意味でしょ。他にどういう意味があるの」
「自分の目と耳で探すには、どこに行けばいいんでしょうかね」

 ペチッ。真希さんにおでこをはたかれた。
「それよ、それ。他人を頼らない。自分の頭で考える。雑誌のライターやネットに書き込んだ誰かのものではなく、ミルコ自身が町を歩いて見つけてきた生の情報。とれたてピチピチの新鮮なネタを探してくるの。Dはそういうのを求めているのよ、わかった?」
「・・・・でも、それって大変ですね。私なんかにできるかなぁ」

 真希さんの目がみるみる吊りあがる。
「できるかなじゃなくて、やるの! もしできなきゃ、マジに居場所がなくなるよ! ウチの会社には役立たずを抱えている余裕がないって、前に言わなかったっけ」

 まずい。真希さんがキレそう。ただでさえ、バカなDにムカついているのに、私の仕事のせいでイライラさせたからだ。
 逃げよう。とりあえず外に出よう。ブラブラして時間をつぶしてこよう。って、入社半年で気分はすっかりリストラ社員だね。
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