裸のプリンスⅢ【R18】

坂本 光陽

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ラブ・スパイラルⅡ①

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 熱い。とても熱い夜だった。

 ローションをぬりたくったように、女の身体は汗にまみれていた。

 僕たちは暗闇の中で、二匹の蛇のようにからみあっている。僕の動きに合わせて美しい身体が跳ね上がり、セクシーな悲鳴が闇を切り裂く。

 僕は無我夢中で、目の前の女を抱いていた。やわらかな水蜜桃をもみしだき、美しい両脚を思い切り開いて、屹立したバナナをエネルギッシュに打ち込む。

 身体中の汗腺から汗が吹き出してくる。ふと、気づいた。女は一人ではない。左右と背後から、複数の女にしがみつかれていた。

 まるで女体の海で泳いでいるようだ。

「お願い。私、シュウくんの赤ちゃんが産みたいの」

 右の耳元で熱く囁く声は、マヤさんのものだった。

「思い切り、私を抱いて」そう言って、情熱的に身体をすりつけてくる。

「ダメよ。シュウくんは私のものだから」そう言って、左腕に水蜜桃を押し付けてくる声は、真由莉さんだ。「早く来て。いつもみたいにムチャクチャにして」

「そんなの嫌っ。他の女なんか見ないで。お願いだから、私だけを見て」

 その声でわかった。背中にしがみついているのは、千鶴である。

 だとしたら、僕が今、身体を交わしている、この熱くてセクシーな身体の持ち主は……?

 僕の心を読んだように、冷ややかな声が上がる。

「シュウ、行為の最中にゴムを破るなんて、それも中で暴発させるなんて、ちょっと考えられないね」

 その瞬間、暗闇は掻き消えた。身体の下にいた女性の顔が、僕の眼に飛び込んでくる。

「……ココナさん」

 僕が身体を重ねていたのは、雇い主であるココナさんだった。

「セックスにおける初歩的なミスでしょ。コールボーイの風上にもおけないね」

「ははっ、意外と中出しを狙っていたんじゃないの」と、真由莉さんが嘲笑する。

「バカバカ、信じられない。シュウくん、最低よ」と、千鶴も僕の背中を叩いてくる。

「いえ、私が悪かったんです。シュウくんの責任じゃありません」

 マヤさんがかばってくれた。でも、彼女の口添えは、僕のみじめさをより一層募らせる。恥ずかしさで身体が熱くなる。

「マヤさん、違います。すべては僕の責任です。本当に恥ずかしいミスです。心から反省しています」

 いや、猛省しなければならない。コールボーイにあるまじきミスは間違いなく、僕の慢心、慣れ、油断に端を発している。

 僕は4人に謝りながら、女体の海を泳ぎ続ける。全身全霊で彼女たちに愛情を注ぎ込む。途中からわかっていた。

 これは夢だ。罪悪感が見せる悪夢だった。
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