裸のプリンスⅢ【R18】

坂本 光陽

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ラブ・スパイラル②

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 幸い、その日は昼過ぎから夕方にかけて、ポッカリ空いている。丁重に御指名を受けたのだ。迷いは全然なかった。

 僕はただ、コールボーイとして、いつも通り仕事をこなすだけである。真由莉さんと笑顔で再会を果たす。それがプロとして、僕なりの矜持きょうじだった。

 夏の高校野球が終わった昼下がり、僕は北千住駅で降り立った。今日はライトブルーのスーツで、フォーマルに決めている。

 ふと思いついて、花屋に立ち寄った。花言葉に凝ることも考えたが、ここは小細工なし、店員さんにお任せして、花束をコーディネートしてもらう。

 真由莉さんのマンションは、駅から歩いて数分のところにある。見慣れたエントランスホールに足を踏み入れ、集合インターホンで彼女に来訪を告げる。

 久しぶりに乗るエレベーター。久しぶりに訪れた彼女の部屋。

 ドアを開けて出迎えてくれたのは、数ヵ月前と少しも変わらない彼女だ。ドクンと心臓が跳ねた。

「真由莉さん、御指名ありがとうございます」

 背中に隠していた花束を素早く彼女に向けて差し出した。

「わぁお、シュウくん、ありがとう」

 満面の笑顔で受け取ってくれた。濃い目のメイクのせいか、大人っぽく、いや、とてもセクシーに見えた。

 打ち合わせをしたわけでもないのに、彼女もフォーマルな装いだった。美しい脚をアピールしたブルーのミニスーツである。

「よくお似合いですね。大手企業の社長秘書さんみたいに見えますよ」
「ふふ、しっかり者でセクシーな秘書なら、シュウくんはうれしいかな」

「もちろんです」僕は笑顔で頷く。

「シュウくんもスーツ姿がセクシーだよ。思わず、見惚れちゃうね」
「ありがとうございます」

 僕たちは笑顔を交わす。ファッション一つにすぎないけど、気が合うというのは、こういうことを言うのだろう。

 僕たちはリビングで、御挨拶の軽い口づけを交わす。

 しばし抱き合って、彼女の感触を確認する。小柄だけど、しなやかで、やわらかい。うん、全然変わっていない。

「どんな風にしちゃおうか? そろそろシュウくん来るな、と思って、ついさっき、××ちゃんに触っちゃったの。私、すぐいっちゃうかも」

 真由莉さんの場合、それは〈潮を吹く〉ということだ。

「スーツが汚れてしまいますね」

 僕はひざまずき、スカートのホックを外し、ジッパーを下ろす。

 彼女はされるがままだ。スカートを床に落とすと、思いがけないものを目の当たりにした。クスリという笑い声が上がる。彼女はショーツを身に着けていなかった。
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