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ラブ・スパイラル①
しおりを挟む元泡姫のお姉様たちにとって、ソープランドで働いていた過去は、墓場までもっていく秘密だろう。元コールガールや元イメクラ嬢、かつて風俗嬢と呼ばれた方々や元AV嬢は皆、同じはずだ。
家族や夫,恋人公認の風俗嬢がいないわけではないだろうが、やはり、少数派だと思う。誇りをもって仕事に励んでいたとしても、大っぴらにすべきことではない。性を売り物にする職業に、世間の眼は冷ややかだ。
もちろん、コールボーイだって変わらない。だから、僕の友人知人たちは、僕の本当の仕事のことは知らないし、皆、フリーターだと思っているはずだ。
再会したばかりの千鶴も、そう思っている。花火大会の日から、週一回のペースで彼女と会ってきただろうか。
基本的に、講義を終えた千鶴から電話がかかってくる。北千住駅近くの喫茶店で落ち合って、彼女の世間話に付き合うだけである。
今度、一緒に映画を観ようか、という話も出たけれど、まだ実現はしていない。アクションホラーとラブロマンスのどちらを観るか迷いに迷って、結論が出なかったからだ。
あと、これも言っておいた方がいいだろう。二度目のキスはまだである。皆さんの期待を裏切るかもしれないが、僕たちの関係は進展していない。
花火大会の夜、僕たちは唇を交わした。雰囲気は悪くなかったし、普段の僕なら、その日のうちに関係を結ぶこともあったかもしれない。
そうならなかったのは、千鶴が元ご近所さんという微妙な関係性のせいだろう。幼馴染にも似た独特な関係から、一気にセックスへと跳躍するには、かなりの勇気を必要とする。志保さんという、彼女の母親の顔がちらついたことも否定できない。
コールボーイであっても、ハイティーンの女の子と無責任に関係を結ぶほど、愚かではないつもりだ。
あと、状況は刻一刻と変化する。元常連さんの真由莉さんから久し振りに連絡を受けたことも、少なからず影響している。
「シュウくん、お久しぶり。今度、君に予約を入れたいんだけど、どうかな?」
数ヵ月の空白期間などなかったようなメールだった。ちなみに、真由莉さんは元看護士のソープ嬢である。僕より少し年上で、小柄で童顔だけど、彼女とのセックスの相性は最高だった。(「情欲の雨に濡れて」参照)
「スケジュールがびっしりだと思うんだけど、今度の月曜日、もし都合がつくなら、いつでも、私のマンションまで来てください。また、若くて逞しい君に抱かれたいな。シュウくんが大好きな真由莉より」
真由莉さんから、こんな丁重なメールを受け取るとは思いもしなかった。
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『裸のプリンスⅢ』の御閲覧をありがとうございました。シュウの物語・第3弾はいかがだったでしょう。もし、お気に召したのなら、「お気に入り」登録をお願いいたします。どうぞ、お気軽に楽しんでください。前作の『裸のプリンス』、『裸のプリンスⅡ』、『愛のしたたる果実【R18】』、『ブラックアイドル【R18】』も合わせて、よろしくお願いいたします。
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