裸のプリンスⅢ【R18】

坂本 光陽

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セクシー・マッスル⑨

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 僕はゆっくりと腰を使いながら、素直な気持ちを告げる。

「華子さん、とても気持ちいいです」
「私もすごくいい。こんなにいいの、初めてかも」

 彼女は悲鳴を上げながら、僕にしがみついてくる。
 僕は腰を使いながら、彼女を抱きしめる。

「それはたぶん、僕が愛情を込めて、しているからですよ」

 やはり、最初からこうするべきだった。レイプまがいの行為で得られる快感は、どこか空虚に思われるものだ。本当の意味で、満たされることがない。

 女性をものとして扱う行為は、お客さんの御要望とはいえ、うまく断わるべきだった。

 ただ、目の前の女性を愛でて慈しむ。優しく丁寧に愛情を注ぎ込む。それがセックスの基本である。

 愛情を込めたセックスを嫌う女性はいない。荒々しく腰を使わなくても、華子さんは上り詰める。悲鳴を上げ続けて、繰り返しエクスタシーに達した。

「シュウくん、出して。私の中に、思い切り出して……」
「わかりました」

 僕は小刻みなストロークを速めて、引き金を絞る準備を整える。華子さんが身体をよじって、新たなエクスタシーを迎えようとする。

 僕は彼女のタイミングに合わせて、きれいにフィニッシュした。

                  *

 後日、ココナさんとの定例ミーティングの際、一冊の本を受け取った。

「これ、この前のお客様から預かったの。シュウに一部進呈しますって」

 100ページにも満たない、妙に薄い本だった。作者名に見覚えがある。あの華子さんの作品だった。ココナさんによると、コミケなどで販売する同人コミックだという。

 ジャンルは男性同士の性愛を描いた、いわゆるBLだった。電子書籍で見たことはあるけれど、紙媒体で見るのは初めてだ。

 パラパラとめくってみて、愕然がくぜんとした。主人公である〈攻め〉の男性は、誰かに似ていた。

「創作意欲をかきたてられて、シュウをモデルにしたんだってさ。事後承諾で申し訳ないって、華子さんから伝言を頼まれたよ」

 思わず、溜め息を吐いた。その主人公は、筋肉質のセックス・マシーンだった。華子さんの眼に、こんな風に映っていたのかもしれない。他人の眼を通して、自分自身を再認識する想いである。

 ちなみに、タイトルは『セクシー・マッスル』だった。

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