裸のプリンスⅢ【R18】

坂本 光陽

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情欲の雨に濡れて⑩

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 ソープ業界には〈姫予約〉というものがある。

 ソープ嬢が特定のお客様から、直接メール予約を受けて、スケジュールと相談しながら、彼女自身(もしくは店員)が次回の日時を決める、という予約システムだ。

 ソープ嬢がメールアドレスを教えるのは、お気に入りのお客様だけであり、誰にでも教えるわけではない。(厳密にいえば、お店のメアドであり、返信をするのは店員ということもある)

 さて、僕が同じことを行うと、〈王子予約〉と呼ばれる。『キャッスル』時代はそういった常連さんがおられたが、『ナイトジャック』にきてから、予約はすべてココナさんに任せていた。

 久し振りに〈王子予約〉をしたのは、知り合ったばかりの真由莉さんである。

 彼女は毎週のように、指名予約をしてくださる。というより、仕事を終えたばかりの僕に、次回の予約を入れてくださる。

 毎回、僕たちは最高のセックスを味わっている。お互い、快楽の追及には貪欲だし、新たな発見と研究を怠らない。

 あと、肌が合うというのか、かゆいところに手が届くというのか、こうしてほしい、と口に出さなくても、こちらの気持ちをわかってくれる。

 たぶん、真由莉さんも同じように感じているはずだ。ただ、相手の気持ちがわかったとしても、ポリシーの違いは いかんともしがたい。

 僕たちの対立は、生でしたい、いや、ゴムをつける、というものである。

 真由莉さんとは身体の相性がいいし、互いに満足しているのだけど、身体を重ねている時は、細心の注意を払っている。

 例えば、気づかぬうちに避妊具に爪をたてられ、ザクロの中で破れてしまったりしないように。うっかり中出し、なんて絶対にあってはならない。

 もっとも、僕もプロなので、そうなったとしても、すぐわかると思うけど。

「男性の中出しが快感なのはわかりますよ。でも、女性もそうなんですか?」

 僕の抱いた素朴な疑問だ。

「バカね。高速で発射された××××が、とっても敏感なポルチオ(子宮の入り口)に命中するんだよ。快感でないわけがないでしょ」

「そんなに気持ちいいですか?」

「一度味わったら病み付きになるね」

 僕は小さく溜め息を吐く。

「真由莉さん、身体を大切にしてくださいよ。今年の夏は暑くなりそうだし、体調を崩せば免疫力が低下します。お互い、身体が資本なんだから」

「シュウは心配性だね」真由莉さんはクスクス笑う。「誰とでもナマでするわけじゃないよ。私が中出しを許すのは、×××××が力強くてセックスのうまい男。40代、50代の肉食系バブル世代だけだから」

 それはそれで、マッチョな中年男に組み敷かれる真由莉さんを想像してしまって、内心穏やかではない。
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『裸のプリンスⅢ』の御閲覧をありがとうございました。シュウの物語・第3弾はいかがだったでしょう。もし、お気に召したのなら、「お気に入り」登録をお願いいたします。どうぞ、お気軽に楽しんでください。前作の『裸のプリンス』、『裸のプリンスⅡ』、『愛のしたたる果実【R18】』、『ブラックアイドル【R18】』も合わせて、よろしくお願いいたします。
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