黒き学び舎 ~僕たちの生首事件~

坂本 光陽

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生首の正体④

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「それって、どういうこと?」
「事件の構成要素エレメントが混在している、ということだ。複数の生徒が目撃した生首、校庭にばらまかれた生首写真、その写真を加工した人物とその作成動機。これらは皆、〈夜の校長〉というファンタジーによって、かろうじてつながっているだけさ」

「……よくわからない。複雑な事件なんだな」
「いや、全然複雑じゃない。とても単純だよ」

「あっ、わかったかもしれない。さっき、偽造写真の生首は中堀さんだと言ったな」
「ああ、言ったね」
「だとすると、生首写真を加工したのは中堀さんではない、なぜなら自分でそんなことをするはずがないから、ということか?」

 ウルマは笑顔でパチパチと手を叩き、
「ほぉ、シロのくせに、よくわかったな。なかなかいいぞ。その調子で推理してみろよ」

 僕は明らかにバカにされている。
「……あと、剣道教室の連中に目撃された生首は、どうなるんだろう。ええと、中堀さんではないのか。うーん、おいウルマ、やっぱり複雑じゃないか」

「複雑に見えるものが、本当に複雑だとは限らない。そう見えるのは、シロの思い込みのせいだよ。一つ一つは極めて単純な出来事にすぎない。ほら、コロンブスの卵だ。僕の説明を聞けば、シロだって『なぁんだ』と思うはずさ」

 前にも同じセリフを言われたけど、僕にはさっぱり見当がつかない。

「とりあえず、この事件のキーマンを追及しようじゃないか。彼を呼び出すことは僕には無理なんでね。シロ、君の出番だよ」
「誰だよ、そのキーマンって」

 たっぷり間をとってから、ウルマは笑顔で言った。

「千堂先生だよ」
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