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愛欲トラップ⑧

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 僕たちは動きを止めて、顔を見合わせる。激しい雨は降り続いているが、雷は遠ざかったようだ。もう一度、チャイムがなった。

「もしかして、お隣さん?」
「いえ、新聞の勧誘かも」

 僕たちは小声で話し合う。

「聞かれたかもしれませんね、サキさんのHな声」
「シュウくんの意地悪」

 来訪者を無視して、事を再開しようとした時、ドンドンと大きな音が上がった。二人とも思わず、玄関の方を振り向く。スチール製のドアを叩いているのだ。

「サキさん、郵便配達か宅配便かも」
「気にしなくていいです。再配達してもらえばいいし」

 僕たちは唇を交わし、再びケダモノへと戻っていく。

 ただ、外は雷鳴がやみ、雨音も小さくなっている。セックスの悲鳴を御近所に聞かれては、彼女の今後の生活に差し支える。僕は激しさよりも一体感を追及し、優しいセックスを心がけた。

 サキさんの初々しい反応を見ていると、より一層愛おしさが募る。僕は心から愛情を込めて、彼女を抱いた。二人とも何も言わないが、何となく、今回が最後のセックスだという予感がある。

 僕は彼女が満足するまで、とことん付き合うつもりだった。もしかしたら、仕事の時以上のサービスだったかもしれない。僕の体力は無尽蔵だけど、サキさんはそういうわけにはいかない。

 彼女の5,6回目のエクスタシーに合わせて、僕はフィニッシュを遂げた。そのまましばし、心地よい余韻を楽しむ。事を終えた後、この時間がもてるかどうかで、人生の潤いは変わってくる。

 シャワーで汗を流し終えると、部屋に着いてから2時間が経っていた。乾燥機から取り出したデニムは生渇きだったけど、シャツとショーツはすっかり乾いている。

 あたたかいコーヒーと御馳走になり、友愛のハグとフレンチキスを一つ。

 僕は笑顔でサキさんの部屋を後にした。心地よい疲れに満たされて、エレベーターで1階まで降りた時、思いがけない人と再会することになった。

「やぁ、シュウくん、思いがけない場所で会うね」

 そう言ったのは、元麻布警察署・生活安全課の刑事,宮下さんである。サキさんは確か、彼は小金井署に異動したと言っていた。

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