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Gカクテル⑤
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「どのようなって、ごくありふれた普通のサラリーマンですよ」
「普通とは、どういうことでしょう」
うーん、どう伝えればいいのだろう。
「会社ではやり手みたいですけど、家ではだらしない父親で。あ、でも、50代になっても、お腹は出ていないです。代謝がいいみたいで、20代の時のスーツが今も着られるって、いつも自慢しています」
「どちらにお勤めなんですか?」
「包装資材メーカーのアクセル紙工です。大手企業じゃないし、御存知ないでしょう?」
「アクセル紙工といえば、東京二部上場じゃないですか。四季報が太鼓判をおす優良企業にお勤めなんですね」
「えっ、そうなんですか?」恥ずかしながら、全然知らなかった。
「主な製造品目は、百貨店量販店,大手メーカーのパッケージ。確か、全国4工場で、紙袋や紙函、段ボールを製造、と記憶しています」
「桐野さん、マイナーな会社なのに、概要まで御存知なんですね」
「お客様の職業は重要なポイントですし、勤務先には興味がありますからね。四季報は隅々まで読みますよ」
「隅々までですか」
「大したことではありません。バーテンダーの嗜みですよ」
さりげなく言っているけど、こういう時、桐野さんは大人だなぁと思う。誰かに言われたから身につけているのではなく、自分が必要だと思っているからそうしているからだ。
当たり前のことかもしれないけど、常にレベルアップを図る姿勢は素直に尊敬できる。
「そういえば、昨晩 話に出たゴジラのカクテル、父なら喜ぶかもしれません。子供みたいに、ゴジラが大好きなんですよ。最近、大きなフィギュアを買ったほどで」
「へぇ、どんなフィギュアですか?」
この話題に食いつくとは意外だった。
「ええっと、確か、モスゴジとかいっていました。父が産まれた年のゴジラらしいんですけど、御存知ありませんよね」
桐野さんは口元に、笑みを浮かべる。
「いえ、わかりますよ。モスゴジということは、1964年ですか。唯一、2本のゴジラ映画が作られた年ですね。モスゴジというのは、全体的に細身のフォルム、眼つきに鋭くて、眉部分の盛り上がりが強調されたゴジラでしょう。確か、キンゴジと人気を二分していたはずです」
思いがけず、桐野さんのマニアックな知識に、私は圧倒される。
「普通とは、どういうことでしょう」
うーん、どう伝えればいいのだろう。
「会社ではやり手みたいですけど、家ではだらしない父親で。あ、でも、50代になっても、お腹は出ていないです。代謝がいいみたいで、20代の時のスーツが今も着られるって、いつも自慢しています」
「どちらにお勤めなんですか?」
「包装資材メーカーのアクセル紙工です。大手企業じゃないし、御存知ないでしょう?」
「アクセル紙工といえば、東京二部上場じゃないですか。四季報が太鼓判をおす優良企業にお勤めなんですね」
「えっ、そうなんですか?」恥ずかしながら、全然知らなかった。
「主な製造品目は、百貨店量販店,大手メーカーのパッケージ。確か、全国4工場で、紙袋や紙函、段ボールを製造、と記憶しています」
「桐野さん、マイナーな会社なのに、概要まで御存知なんですね」
「お客様の職業は重要なポイントですし、勤務先には興味がありますからね。四季報は隅々まで読みますよ」
「隅々までですか」
「大したことではありません。バーテンダーの嗜みですよ」
さりげなく言っているけど、こういう時、桐野さんは大人だなぁと思う。誰かに言われたから身につけているのではなく、自分が必要だと思っているからそうしているからだ。
当たり前のことかもしれないけど、常にレベルアップを図る姿勢は素直に尊敬できる。
「そういえば、昨晩 話に出たゴジラのカクテル、父なら喜ぶかもしれません。子供みたいに、ゴジラが大好きなんですよ。最近、大きなフィギュアを買ったほどで」
「へぇ、どんなフィギュアですか?」
この話題に食いつくとは意外だった。
「ええっと、確か、モスゴジとかいっていました。父が産まれた年のゴジラらしいんですけど、御存知ありませんよね」
桐野さんは口元に、笑みを浮かべる。
「いえ、わかりますよ。モスゴジということは、1964年ですか。唯一、2本のゴジラ映画が作られた年ですね。モスゴジというのは、全体的に細身のフォルム、眼つきに鋭くて、眉部分の盛り上がりが強調されたゴジラでしょう。確か、キンゴジと人気を二分していたはずです」
思いがけず、桐野さんのマニアックな知識に、私は圧倒される。
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