上 下
62 / 73

濡れ結ぶ⑦

しおりを挟む
「〈半グレ〉以外にカズを恨む人物はいたんでしょうか?」

 彼女は首を横に振る。

「被疑者は今のところ、見当たらないみたい。だから、どちらといえば、偶発的な事故なのかも。その後に轢き逃げ、という可能性が高いみたい」

「……そうですか。そうなると、確固たる物的証拠でもないと、捜査は難しそうですね」

「うん、そうかもしれない」

 少し言葉が途切れたので、僕は彼女を抱きしめた。唇を交わし、情熱的に舌をからませる。僕たちの身体は少しずつ馴染んでいく。

「ごめんね。役立たずの警察官で」

「いえ、警察は懸命に捜査していると思いますよ」

 僕は避妊具を装着し、再び彼女と一つになる。優しさを込めた愛撫と、ゆるやかな腰遣いで、愛情を交わす。

 僕がセックスのプロであるように、警察は犯罪捜査のプロだ。カズを殺めた犯人を捜し出すことは、警察に任せるしかないだろう。そんなことを考えながら、僕はサキさんを抱く。

「あ、もう一つ、気になっていたことがあるんです。宮下さんから訊かれたんですが、カズから何か受け取ったり預かったりしていないかって。でも、僕には全然心当たりがないんですよ」

 僕が動きを止めたので、彼女は少し不満げだ。そんなサキさんが、とても可愛らしく思える。でも、気づかぬふりをして、さらに話し続ける。

「郵便物なんでしょうか? おカネではないですね。小さなものですか?」

 サキさんは困り顔で苦笑する。

「さぁ、その件に関しては、よく知らないんです」

 話しながら目を伏せたので、僕には嘘だとわかった。なら、正直になってもらうしかない。僕は下半身に力を込めて、ザクロの壁を押し広げる。

「ああっ」

 サキさんが悲鳴を上げて、僕にしがみついてきた。美しい両脚を広げながら、彼女の腰をベッドから浮かせる。そのままの態勢で、屹立したバナナを斜め下に打ち下ろす。潤ったザクロを深々とえぐって差し上げる。

 サキさんと会うのは二回目だけど、長年の恋人同士のように身体は馴染んでいる。彼女の敏感な部分を確実に責めることで、スピーディーにエクスタシーへと送り届けることができた。彼女が達して身体を震わしていても、僕の力強い腰使いは続く。

「もうダメ、許して」

 そう言われても、聞こえない振りをした。今の僕はコールドボーイだった。上り詰めっぱなしのエクスタシーを味わってもらう。
しおりを挟む

処理中です...