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濡れ結ぶ③

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「とてもきれいですよ」

 本心からそう告げて、僕は顔を近づけていく。

「いやっ」

 口は拒否しているが、逆の意味であることは承知している。最も敏感な果粒にキスをして、尖らせた舌先で丹念に愛撫を施す。

 サキさんは短く鋭い叫びを上げる。腰を跳ね上げられないように、僕は両手を彼女の腰を押さえ込む。

「宮下さんはこんな風に愛してくれましたか?」

 サキさんは慌ただしく首を横に振り、僕の腕を強く握りしめた。僕は彼女の反応を見ながら、デリケートな愛撫を続ける。

 すぐに体液があふれだし、しとどに濡れてしまう。

 僕の下半身は既に臨戦態勢を整えている。丹念に可愛がって差し上げなから、美しい両脚を持ち上げた。さらに、大きく広げる。

「そろそろ、いきますね」

 彼女の喘ぎ声を聞きながら、僕は右手で素早く避妊具を装着する。身体をくねらせて、自然な流れで下半身の位置と角度を定めた。

 バナナの先端をゆっくりとザクロの入口にくぐらせる。サキさんが僕の腕にしがみつくが、いきなり奥まで突き進むような乱暴な愛し方はしない。

 入口付近で細かな出し入れを繰り返し、二つの果実をじっくり馴染ませる。あたたかい粘膜を味わいつつ、かき回していると、サキさんの悲鳴が高まっていく。

「どうですか? 痛くないですか?」

 彼女は首を横に振り、僕の腰を引き寄せようとする。少々、じらしすぎたのかもしれない。

「欲しいですか、もっと奥の方に」

 彼女の耳元で囁くと、切実な表情で小さく頷いた。

「……お願い」

 御要望に応える前に、僕は一つの質問を投げかける。

「どのあたりが宮下さんと違いますか?」

 いくぶんの言葉責めを含みつつ、とりあえず比較してもらおうと思う。リビドーを高めるためのスパイスとして。

「……」僕は無言の彼女を見つめつつ、ほんの少しだけ腰を進める。「どのあたりが違いますか?」
「違うの、全然違うの」サキさんが可愛い悲鳴を上げる。
「具体的に教えてください」

 腰を引き戻しながら、彼女の瞳を覗き込む。
 聡明な顔が屈辱に歪み、それでもしっかり口にしてくれた。

「……太くて、とっても硬いの」

「それだけですか?」僕は腰を静かに押し進める。

「あああっ」サキさんは大きくのけぞった。
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