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逝けない女③
しおりを挟むとりあえず、不安を拭いさることが肝要だ。
「梨美さん、大丈夫です。リラックスしてください」
僕はにっこり微笑む。優しく唇を交わしながら、二の腕に指先を這わせる。できるだけ、繊細なタッチを心がけた。
羽毛を滑らせるようなイメージだ。相手の信頼を勝ち取ることは、コールボーイの必須条件だ。未熟なセックスしか経験したことにない女性には、とりわけ重要になる。
「梨美さん、とても肌がきれいですね」
耳元で甘く囁くと、彼女の身体から力が抜けた。キスと交わしながら、指先で感じるところを探っていく。
先程、梨美さんはくすぐったがったけれど、それはまだ未開発だからだ。くすぐったさと快感は紙一重。触れるか触れないかのシルキータッチで、美しい肌をサーチする。
「……んん」
梨美さんが初めて、甘い悲鳴を上げた。体温が上がってきたのが指先でわかる。
もっと気持ちよくなってもらいたい。梨美さんが望まないなら、今日はインサートを見送ってもいいだろう。
もちろん、コールボーイの立場上、した方がいいのだけど、そのニーズがないのなら無理強いはしない。それが、僕のスタンスだ。ただ、今まで味わったことのない快感を体験していただきたい。
コールボーイもサービス業の一種だ。僕だからこそ味わえたサービス、というものを追及してみたい。
首筋や脇の下、皮膚の薄い部分を重点的にシルキータッチで責めた。優しく、できるだけ優しく。ああ、じれったい、と思わせるほどに。
僕の腕を掴んでいる手に力が入った。どうやら、脚が感じるようだ。僕は身体を下にずらして、足の指先から太腿の付け根まで、ゆっくりと指先を這わせる。往復を丁寧に何度も繰り返す。
「ああ……」
甘い吐息がもれた。身も心も充分にほぐれたら、僕の指先は本丸に向かう。もちろん、すっかり潤み切ったザクロである。
指先を間近に近づけても、脚を閉じたりする気配はなかった。梨美さんは僕の腕にしがみついて、ブルブルと身体を震わせている。
梨美さんの蜜は、予想以上に溢れていた。ザクロの周辺どころか、太腿まで濡らしている。
「梨美さん、僕の指が気持ちよかったんですね」
明るい調子で囁くと、恥ずかしそうにコクンと頷いた。僕は人差し指と中指の先に、彼女の蜜をからめていく。
これほど濡れたのは初めてなのだろう。梨美さんは頬から耳まで真っ赤に染めて、腰をモジモジさせている。
愛撫を行う前に、ザクロの入口に沿うように中指をおいた。デリケートな部分に当てただけである。それでも、敏感に反応した。
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