18 / 18
男が欲しい夜
残酷な真実④
しおりを挟む
エリの下腹部に、〈黒い穴〉があった。それは信じられないことに、鼓動を繰り返していた。まるで、不気味な生き物が肌に張りついているようだが、少なくとも見かけは〈黒い穴〉である。
エリ自身が言った通り、穴は深すぎて、底が見通せなかった。明らかに、身体の厚み以上の深さがあった。彼女自身が〈穴女〉という、身体に穴をもった女だったのか?
まさに、悪夢のような眺めだ。
二人がベッドで結ばれていた時、スズキがインサートをしていたのは、この〈黒い穴〉ではなかったか? とてつもない快感を生み出していたものは……。スズキは想像しただけで、背筋が凍る想いだった。
「どう、これで信じてくれた?」
エリはクスクスと笑っている。これが手の込んだトリックだとしたら、相当に趣味の悪い冗談だ。そう願わずにはいられないスズキだったが、エリはただほくそ笑んでいるばかりだった。
「この〈穴〉は生きているの。信じられないでしょうけど、しっかり息づいている。おまけに、これは性病と同じ。セックスで感染しちゃうのよ」
「……嘘だろ」
「ショックよね。その気持ちはよくわかるなぁ。私も移された時はショックだったから。最悪なことに、〈穴〉の生贄に選ばれちゃったのよ。私も、スズキくんも」
エリ自身が言った通り、穴は深すぎて、底が見通せなかった。明らかに、身体の厚み以上の深さがあった。彼女自身が〈穴女〉という、身体に穴をもった女だったのか?
まさに、悪夢のような眺めだ。
二人がベッドで結ばれていた時、スズキがインサートをしていたのは、この〈黒い穴〉ではなかったか? とてつもない快感を生み出していたものは……。スズキは想像しただけで、背筋が凍る想いだった。
「どう、これで信じてくれた?」
エリはクスクスと笑っている。これが手の込んだトリックだとしたら、相当に趣味の悪い冗談だ。そう願わずにはいられないスズキだったが、エリはただほくそ笑んでいるばかりだった。
「この〈穴〉は生きているの。信じられないでしょうけど、しっかり息づいている。おまけに、これは性病と同じ。セックスで感染しちゃうのよ」
「……嘘だろ」
「ショックよね。その気持ちはよくわかるなぁ。私も移された時はショックだったから。最悪なことに、〈穴〉の生贄に選ばれちゃったのよ。私も、スズキくんも」
0
拙作『天使の穴には牙がある【R18】』を読んでいただき、本当にありがとうございます。どうぞ、お気軽に御覧ください。「お気に入り」登録や御感想を聞かせていただければ幸いです。『裸のプリンス【R18】』と『ブラックアイドル【R18】』も合わせて、よろしくお願いいたします。ホラー・ミステリー大賞に参加しますので、合わせてお願いします。
お気に入りに追加
8
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ママが呼んでいる
杏樹まじゅ
ホラー
鐘が鳴る。夜が来る。──ママが彼らを呼んでいる。
京都の大学に通う九条マコト(くじょうまこと)と恋人の新田ヒナ(あらたひな)は或る日、所属するオカルトサークルの仲間と、島根にあるという小さな寒村、真理弥村(まりやむら)に向かう。隠れキリシタンの末裔が暮らすというその村には百年前まで、教会に人身御供を捧げていたという伝承があるのだった。その時、教会の鐘が大きな音を立てて鳴り響く。そして二人は目撃する。彼らを待ち受ける、村の「夜」の姿を──。

終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。

赤い部屋
ねむたん
ホラー
築五十年以上。これまで何度も買い手がつきかけたが、すべて契約前に白紙になったという。
「……怪現象のせい、か」
契約破棄の理由には、決まって 「不審な現象」 という曖昧な言葉が並んでいた。
地元の人間に聞いても、皆一様に口をつぐむ。
「まぁ、実際に行って確かめてみりゃいいさ」
「そうだな……」


【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる