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男が欲しい夜
残酷な真実③
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「とある村の人里離れた谷底に、それは不気味な穴があるの。とっても深くて、あまりに深すぎて、底が知れないそうよ。地獄に通じているって言われているくらい、とっても暗くて禍々しい穴なんだって……」
「……」
「本当にあの世につながっていたのかもしれない。死人が呼びかけてくるって言われているから。『こっちに来い、こっちに来い』ってね。生きている人間をうらやましいから、穴に引きずり込もうとするんだってさ……」
「……」
「でも、山深い場所だから人っ子一人いない。だから、定期的に生贄を求めるのね。誰か、生きのいい人間を穴まで連れてこいって……、命じられるの」
「誰が、命じられるの?」
「……〈穴女〉と〈穴男〉が」
いつのまにか、スズキは喉がカラカラだった。ミネラルオォーターを一口飲んでから、
「何なの、〈穴女〉って」
「〈穴女〉は文字通り、身体に穴をもっている女よ。〈穴男〉は穴をもった男。もちろん、普通の穴じゃなくて、暗くて禍々しい穴。何たって、底が見えないんだから」
「……」
「スズキくん、信じていなのね」
「えっ、いや……」
「そう、仕方ないわね」エリは勢いをつけて立ち上がり、
「ほら、ごらんなさい」と、ワンピースの裾を大胆にまくり上げた。
「……」
「本当にあの世につながっていたのかもしれない。死人が呼びかけてくるって言われているから。『こっちに来い、こっちに来い』ってね。生きている人間をうらやましいから、穴に引きずり込もうとするんだってさ……」
「……」
「でも、山深い場所だから人っ子一人いない。だから、定期的に生贄を求めるのね。誰か、生きのいい人間を穴まで連れてこいって……、命じられるの」
「誰が、命じられるの?」
「……〈穴女〉と〈穴男〉が」
いつのまにか、スズキは喉がカラカラだった。ミネラルオォーターを一口飲んでから、
「何なの、〈穴女〉って」
「〈穴女〉は文字通り、身体に穴をもっている女よ。〈穴男〉は穴をもった男。もちろん、普通の穴じゃなくて、暗くて禍々しい穴。何たって、底が見えないんだから」
「……」
「スズキくん、信じていなのね」
「えっ、いや……」
「そう、仕方ないわね」エリは勢いをつけて立ち上がり、
「ほら、ごらんなさい」と、ワンピースの裾を大胆にまくり上げた。
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拙作『天使の穴には牙がある【R18】』を読んでいただき、本当にありがとうございます。どうぞ、お気軽に御覧ください。「お気に入り」登録や御感想を聞かせていただければ幸いです。『裸のプリンス【R18】』と『ブラックアイドル【R18】』も合わせて、よろしくお願いいたします。ホラー・ミステリー大賞に参加しますので、合わせてお願いします。
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