12 / 18
男が欲しい夜
忘れられない夜④
しおりを挟む
エリの方がスズキより積極的だった。甘い舌がスズキの口内を愛撫する。
スズキは頭に血が上り、理性と迷いは消えた。強い力で柔らかな身体を抱きしめる。
二人の動きが激しくなった。唇を交わしながら、互いの身体をまさぐり合う。スズキの手がエリのふくらみに触れた。ワンピースの上からでも、夢のような柔らかさだった。
スズキは慌ただしくネクタイをゆるめ、シャツを脱ぎ捨てた。苦労してワンピースのホックを外し、ジッパーを下ろす。エリの真っ白な肌が露わになり、スズキの理性は完全に消失した。
下着姿になった二人は、もつれ合うようにベッドルームに向かった。5mほど先の部屋なのだが、途中で何度も立ち止まり、情熱的に唇を交わす。その度に、エリの白い肌は赤みを帯びていく。
あと2,3歩でドア口というところで、エリが足を止めた。
「ちょっと待って、スズキくん」
「大丈夫。避妊具は持ってきた」
「ううん、そうじゃなくて、一つだけお願いがあるの」
エリの願いとは意外なことではなく、ごく普通のありふれたことだった。
「部屋を暗くしてほしいの。……恥ずかしいから。ね、スズキくん、お願い」
「うん、わかった。言われた通りにする」
スズキは明かりをつけないまま部屋の中に入り、ベッドサイドの卓上ランプを一旦点灯させてから消した。
だが、エリの要求は厳密だった。デジタル時計やラジオチューナーの表示が青白く光っていたのだが、スズキに言ってタオルやハンカチをかけさせたのだ。ほんのわずかな明かりも許さなかったのである。
スズキは頭に血が上り、理性と迷いは消えた。強い力で柔らかな身体を抱きしめる。
二人の動きが激しくなった。唇を交わしながら、互いの身体をまさぐり合う。スズキの手がエリのふくらみに触れた。ワンピースの上からでも、夢のような柔らかさだった。
スズキは慌ただしくネクタイをゆるめ、シャツを脱ぎ捨てた。苦労してワンピースのホックを外し、ジッパーを下ろす。エリの真っ白な肌が露わになり、スズキの理性は完全に消失した。
下着姿になった二人は、もつれ合うようにベッドルームに向かった。5mほど先の部屋なのだが、途中で何度も立ち止まり、情熱的に唇を交わす。その度に、エリの白い肌は赤みを帯びていく。
あと2,3歩でドア口というところで、エリが足を止めた。
「ちょっと待って、スズキくん」
「大丈夫。避妊具は持ってきた」
「ううん、そうじゃなくて、一つだけお願いがあるの」
エリの願いとは意外なことではなく、ごく普通のありふれたことだった。
「部屋を暗くしてほしいの。……恥ずかしいから。ね、スズキくん、お願い」
「うん、わかった。言われた通りにする」
スズキは明かりをつけないまま部屋の中に入り、ベッドサイドの卓上ランプを一旦点灯させてから消した。
だが、エリの要求は厳密だった。デジタル時計やラジオチューナーの表示が青白く光っていたのだが、スズキに言ってタオルやハンカチをかけさせたのだ。ほんのわずかな明かりも許さなかったのである。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
ママが呼んでいる
杏樹まじゅ
ホラー
鐘が鳴る。夜が来る。──ママが彼らを呼んでいる。
京都の大学に通う九条マコト(くじょうまこと)と恋人の新田ヒナ(あらたひな)は或る日、所属するオカルトサークルの仲間と、島根にあるという小さな寒村、真理弥村(まりやむら)に向かう。隠れキリシタンの末裔が暮らすというその村には百年前まで、教会に人身御供を捧げていたという伝承があるのだった。その時、教会の鐘が大きな音を立てて鳴り響く。そして二人は目撃する。彼らを待ち受ける、村の「夜」の姿を──。

終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。

赤い部屋
ねむたん
ホラー
築五十年以上。これまで何度も買い手がつきかけたが、すべて契約前に白紙になったという。
「……怪現象のせい、か」
契約破棄の理由には、決まって 「不審な現象」 という曖昧な言葉が並んでいた。
地元の人間に聞いても、皆一様に口をつぐむ。
「まぁ、実際に行って確かめてみりゃいいさ」
「そうだな……」


【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる