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男が欲しい夜
忘れられない夜③
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「ふふっ、ありがと」エリは笑いながら、スズキの頬に軽くキスをした。
スズキが驚いて固まっているうちに、美しい肢体は離れてしまい、二人の距離は再び広がってしまう。空いてしまったスズキのグラスに、エリはワインを注ぎ、
「ほら、もう一度、乾杯しよ」と、ケラケラ笑う。
エリは陽気な酔い方だった。頬が上気し、潤んだ瞳もセクシーである。その気になっていることは充分にうかがいしれる。後は、スズキが勇気を出して、一歩踏み出すだけだった。
しかし、それでもスズキを躊躇わせるものが一つあった。このままエリを抱いてもいいのか? 自分にはその権利があるのか? そんな想いが頭の中でグルグル回っていた。
結局、二人でワインをボトル一本開けてしまった。大半を飲んだのはスズキだが、彼はアルコールに強い体質なので、ほとんど顔に出ない。
「もう一本のんじゃう?」
エリがルームサービスを立ち上がりかけた時、ようやくスズキは心を決めた。エリの細い腕をつかんで、優しく引き寄せたのだ。
二人は唇を合わせた。最初は軽めのキス。二度三度と、次第に長く重ねる。
スズキは童貞ではないが、風俗の女性しか経験がない。いわゆる、素人童貞だった。しかも、相手は大学時代から憧れていたエリである。期待と不安が入り混じり、スズキは手探り状態で進んでいた。
そんなスズキの態度をエリは、じれったく思ったらしい。彼の両頬を両手ではさみ、情熱的に唇を交わすと、尖った舌を彼の口内に差し入れていく。
スズキが驚いて固まっているうちに、美しい肢体は離れてしまい、二人の距離は再び広がってしまう。空いてしまったスズキのグラスに、エリはワインを注ぎ、
「ほら、もう一度、乾杯しよ」と、ケラケラ笑う。
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しかし、それでもスズキを躊躇わせるものが一つあった。このままエリを抱いてもいいのか? 自分にはその権利があるのか? そんな想いが頭の中でグルグル回っていた。
結局、二人でワインをボトル一本開けてしまった。大半を飲んだのはスズキだが、彼はアルコールに強い体質なので、ほとんど顔に出ない。
「もう一本のんじゃう?」
エリがルームサービスを立ち上がりかけた時、ようやくスズキは心を決めた。エリの細い腕をつかんで、優しく引き寄せたのだ。
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スズキは童貞ではないが、風俗の女性しか経験がない。いわゆる、素人童貞だった。しかも、相手は大学時代から憧れていたエリである。期待と不安が入り混じり、スズキは手探り状態で進んでいた。
そんなスズキの態度をエリは、じれったく思ったらしい。彼の両頬を両手ではさみ、情熱的に唇を交わすと、尖った舌を彼の口内に差し入れていく。
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拙作『天使の穴には牙がある【R18】』を読んでいただき、本当にありがとうございます。どうぞ、お気軽に御覧ください。「お気に入り」登録や御感想を聞かせていただければ幸いです。『裸のプリンス【R18】』と『ブラックアイドル【R18】』も合わせて、よろしくお願いいたします。ホラー・ミステリー大賞に参加しますので、合わせてお願いします。
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