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男が欲しい夜
忘れられない夜②
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「その先輩って、もしかして、さっきの話の人?」
「そう、ずっとお世話になっている先輩なんだけど、怖い話が好きな人なの」
「ああ、いるよね、そういう人。高校のクラスに一人はそういう奴がいたよ」
「いたよねぇ。あっ、その先輩は、女性だけどね」
先輩が男性である可能性もあったので、それを聞いたスズキは内心、胸をなでおろしていた。
柔らかなソファに並んで腰を下ろし、二人がたわいない話をしていると、まもなくしてルームサービスが届いた。ワインとチーズセットである。二人はワイングラスを合わせて、改めて再会を祝う乾杯をした。
スズキはチーズを摘まみながら、
「エリさん、怖い話が苦手そうだね」
「うん、そうかもね」エリは笑った。「幽霊とか怪談もそうだけど、リアルに怖い話はもっと苦手。ほら、たまたま電車で乗り合わせただけで後を付け回されたり、知らない間に部屋に盗聴器を仕掛けられたり、そんな話がよくあるじゃない」
「女性の一人暮らしだと、そういう心配があるよね」
「そうだよ。か弱い女の子だもん。男性の腕力には絶対に適わないしさ」
ワインの酔いも手伝ってか、エリは腰をずらしてスズキににじり寄っていく。二人の腕がほとんど触れ合いそうである。
「ねぇ、もし私が危ない目にあったら、スズキくんは守ってくれる?」エリは上目遣いで、スズキの表情をのぞく。
「ああ、それはもちろんだよ。連絡をもらったら、すぐに飛んでいく」スズキは躊躇わずに、はっきりと言い切った。
「そう、ずっとお世話になっている先輩なんだけど、怖い話が好きな人なの」
「ああ、いるよね、そういう人。高校のクラスに一人はそういう奴がいたよ」
「いたよねぇ。あっ、その先輩は、女性だけどね」
先輩が男性である可能性もあったので、それを聞いたスズキは内心、胸をなでおろしていた。
柔らかなソファに並んで腰を下ろし、二人がたわいない話をしていると、まもなくしてルームサービスが届いた。ワインとチーズセットである。二人はワイングラスを合わせて、改めて再会を祝う乾杯をした。
スズキはチーズを摘まみながら、
「エリさん、怖い話が苦手そうだね」
「うん、そうかもね」エリは笑った。「幽霊とか怪談もそうだけど、リアルに怖い話はもっと苦手。ほら、たまたま電車で乗り合わせただけで後を付け回されたり、知らない間に部屋に盗聴器を仕掛けられたり、そんな話がよくあるじゃない」
「女性の一人暮らしだと、そういう心配があるよね」
「そうだよ。か弱い女の子だもん。男性の腕力には絶対に適わないしさ」
ワインの酔いも手伝ってか、エリは腰をずらしてスズキににじり寄っていく。二人の腕がほとんど触れ合いそうである。
「ねぇ、もし私が危ない目にあったら、スズキくんは守ってくれる?」エリは上目遣いで、スズキの表情をのぞく。
「ああ、それはもちろんだよ。連絡をもらったら、すぐに飛んでいく」スズキは躊躇わずに、はっきりと言い切った。
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