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男が欲しい夜
忘れられない夜①
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エリの話を聞いた時、スズキの脳裏に浮かんだのは、〈ダルマ女〉の噂だった。新婚旅行の最中に妻が行方不明になるので、〈消えた花嫁〉という呼び名もある。
海外のブティックで買い物をしていたはずの妻が、何の前触れもなく、突然、姿を消してしまうのだ。夫は当然、途方に暮れる。警察や大使館に相談しても、何の手がかりも得られない。夫は仕方なく、独りさびしく帰国の途につく。
その後も妻の消息はつかめず、数年の月日が流れる。もう妻のことをあきらめかけた時、同僚から妻の手がかりを得る。同僚が言うには、妻らしき女性が見世物小屋にいたというのだ。両腕両脚を失い、顔と胴体だけになった姿で。
〈ダルマ女〉の噂はバブル期に流行ったものらしい。おそらく、エリの話は〈ダルマ女〉から派生したものだろう。
だが、そんなことを口にするつもりは、スズキにはなかった。今の雰囲気が台無しになるし、エリの気分を害するかもしれない。上気しているエリは、見たこともないほどセクシーだった。
エリに導かれて訪れたホテルの部屋は、スズキのワンルームマンションより、はるかに広かった。ふかふかのソファなど応接セットの並んだフロアには、大画面のテレビセットやバーカウンターもあった。
「ここって、スイートルーム?」スズキは内心、リッチな空間に圧倒されていた。
「ううん、ツインルーム。先輩と一緒に泊まる予定が、急用ができちゃって、今夜は私一人なの」
海外のブティックで買い物をしていたはずの妻が、何の前触れもなく、突然、姿を消してしまうのだ。夫は当然、途方に暮れる。警察や大使館に相談しても、何の手がかりも得られない。夫は仕方なく、独りさびしく帰国の途につく。
その後も妻の消息はつかめず、数年の月日が流れる。もう妻のことをあきらめかけた時、同僚から妻の手がかりを得る。同僚が言うには、妻らしき女性が見世物小屋にいたというのだ。両腕両脚を失い、顔と胴体だけになった姿で。
〈ダルマ女〉の噂はバブル期に流行ったものらしい。おそらく、エリの話は〈ダルマ女〉から派生したものだろう。
だが、そんなことを口にするつもりは、スズキにはなかった。今の雰囲気が台無しになるし、エリの気分を害するかもしれない。上気しているエリは、見たこともないほどセクシーだった。
エリに導かれて訪れたホテルの部屋は、スズキのワンルームマンションより、はるかに広かった。ふかふかのソファなど応接セットの並んだフロアには、大画面のテレビセットやバーカウンターもあった。
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「ううん、ツインルーム。先輩と一緒に泊まる予定が、急用ができちゃって、今夜は私一人なの」
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拙作『天使の穴には牙がある【R18】』を読んでいただき、本当にありがとうございます。どうぞ、お気軽に御覧ください。「お気に入り」登録や御感想を聞かせていただければ幸いです。『裸のプリンス【R18】』と『ブラックアイドル【R18】』も合わせて、よろしくお願いいたします。ホラー・ミステリー大賞に参加しますので、合わせてお願いします。
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