6 / 18
男が欲しい夜
思いがけない誘い⑤
しおりを挟む
「エリさんの方はどう? 仕事は順調なのかな」
「うん、まぁまぁかな。私の事務所は力があるから、業界が冷え込んでも仕事はあるの。今はまだ下積みだけど、先輩の方々に可愛がられているし、ゆくゆくは大きな仕事を目指す、ううん、任されるつもり」
スズキの聞いた噂の通り、エリはタレント事務所に所属しているという。彼女の言葉を信じるなら、大手の事務所であるらしい。
つまり、業界人の仲間入りをしたわけである。洗練された美しさと華やいだ雰囲気は、スズキの眼には眩しく映った。
「エリさんは大学の時からそんな感じだったけど、すっかり別世界の人だね」
「そんなことないよ。社会に出れば誰だって、学生気分ではいられないもの」
エリはオレンジジュースで喉を潤してから、
「ただ、一般の社会とは少し違う部分もあるかな」声を潜めて、「業界ってヤバめの物事と近いというか……、もちろん危険って方の意味だけど」
当時、有名俳優の暴行事件がマスコミを騒がしていた。それでなくても、昨年から薬物がらみ、パワハラ、セクハラと、枚挙に暇がない。
「週刊誌やネット記事を見て、何となくそうかなと思っていたけど、やっぱりそうなの?」と、スズキも声を潜めた。
「うん、ヤバいというより、怖いことが多いのかもしれない」
エリが顔を寄せてきたので、スズキは内心ドキマギしていた。
「うん、まぁまぁかな。私の事務所は力があるから、業界が冷え込んでも仕事はあるの。今はまだ下積みだけど、先輩の方々に可愛がられているし、ゆくゆくは大きな仕事を目指す、ううん、任されるつもり」
スズキの聞いた噂の通り、エリはタレント事務所に所属しているという。彼女の言葉を信じるなら、大手の事務所であるらしい。
つまり、業界人の仲間入りをしたわけである。洗練された美しさと華やいだ雰囲気は、スズキの眼には眩しく映った。
「エリさんは大学の時からそんな感じだったけど、すっかり別世界の人だね」
「そんなことないよ。社会に出れば誰だって、学生気分ではいられないもの」
エリはオレンジジュースで喉を潤してから、
「ただ、一般の社会とは少し違う部分もあるかな」声を潜めて、「業界ってヤバめの物事と近いというか……、もちろん危険って方の意味だけど」
当時、有名俳優の暴行事件がマスコミを騒がしていた。それでなくても、昨年から薬物がらみ、パワハラ、セクハラと、枚挙に暇がない。
「週刊誌やネット記事を見て、何となくそうかなと思っていたけど、やっぱりそうなの?」と、スズキも声を潜めた。
「うん、ヤバいというより、怖いことが多いのかもしれない」
エリが顔を寄せてきたので、スズキは内心ドキマギしていた。
0
拙作『天使の穴には牙がある【R18】』を読んでいただき、本当にありがとうございます。どうぞ、お気軽に御覧ください。「お気に入り」登録や御感想を聞かせていただければ幸いです。『裸のプリンス【R18】』と『ブラックアイドル【R18】』も合わせて、よろしくお願いいたします。ホラー・ミステリー大賞に参加しますので、合わせてお願いします。
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説


ママが呼んでいる
杏樹まじゅ
ホラー
鐘が鳴る。夜が来る。──ママが彼らを呼んでいる。
京都の大学に通う九条マコト(くじょうまこと)と恋人の新田ヒナ(あらたひな)は或る日、所属するオカルトサークルの仲間と、島根にあるという小さな寒村、真理弥村(まりやむら)に向かう。隠れキリシタンの末裔が暮らすというその村には百年前まで、教会に人身御供を捧げていたという伝承があるのだった。その時、教会の鐘が大きな音を立てて鳴り響く。そして二人は目撃する。彼らを待ち受ける、村の「夜」の姿を──。
まばたき怪談
坂本 光陽
ホラー
まばたきをしないうちに読み終えられるかも。そんな短すぎるホラー小説をまとめました。ラスト一行の恐怖。ラスト一行の地獄。ラスト一行で明かされる凄惨な事実。一話140字なので、別名「X(旧ツイッター)・ホラー」。ショートショートよりも短い「まばたき怪談」を公開します。

赤い部屋
ねむたん
ホラー
築五十年以上。これまで何度も買い手がつきかけたが、すべて契約前に白紙になったという。
「……怪現象のせい、か」
契約破棄の理由には、決まって 「不審な現象」 という曖昧な言葉が並んでいた。
地元の人間に聞いても、皆一様に口をつぐむ。
「まぁ、実際に行って確かめてみりゃいいさ」
「そうだな……」

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる