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プロローグ
死に至る病
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エロスとタナトスはよく馴染む。
タナトスとは、死を司る神のことである。確か、ギリシャ神話の死神だったと思う。拡大解釈をすれば、死の恐怖と言い直してもいいはずだ。
人は死の恐怖を感じると、エロス、すなわち生殖本能が活性化するという。死ぬ物狂いで自分の遺伝子を残そう、というわけである。
例えば、ヤクザ映画で定番のシーンがある。主人公が決死の殴りこみの直前に、愛する女とのドロドロの濡れ場を繰り広げるのだ。ありきたりな展開ではあるが、当事者にとって死を覚悟した時のセックスは相当に盛り上がることだろう。
エロスとタナトスはよく馴染むといえば思い出すのだが、あなたはこんな話を聞いたことはないだろうか?
ある男がバーで見知らぬ女に声をかけられ、つい関係を持ってしまう。翌朝、男が目を覚ますと、すでに女の姿はない。ただ、洗面台の鏡に口紅で書かれた「エイズの世界にようこそ」というメッセージが残されていた。
死の恐怖を味わうことで、男は天国から地獄に急降下というわけである。もっとも、エイズの治療に関しては、この数十年で大きく変った。完治はできなくとも、薬によって発症を防ぐことができるようになった。
この「エイズの世界にようこそ」という話は、一般に「エイズ・メアリー」と呼ばれている都市伝説だ。男が女を誘惑する、男女が逆のバージョンもある。
あなたが聞いた話では、日本が舞台になっているかもしれないが、世界各国によく似た話があり、実はアメリカがルーツだと言われている。都市伝説のルーツを辿ると、実は欧米の話だったということは意外と多いのだ。
さて、「エイズ・メアリー」から派生したと思われる都市伝説がある。
ある男が行きずりの女性と関係を持ち、翌朝、目を覚ましたら女性の姿がないのは「エイズ・メアリー」と同じである。ただ、残されたメッセージは、「あなたも死者の仲間入り」というものであり、さらに、それを防ぐ唯一の方法が書いてあるのだが……。
今、明かせる情報はこれぐらいである。続きは追い追い語っていくとして、当事者たちの味わった恐怖の体験について書き進めて行こうと思う。
タナトスとは、死を司る神のことである。確か、ギリシャ神話の死神だったと思う。拡大解釈をすれば、死の恐怖と言い直してもいいはずだ。
人は死の恐怖を感じると、エロス、すなわち生殖本能が活性化するという。死ぬ物狂いで自分の遺伝子を残そう、というわけである。
例えば、ヤクザ映画で定番のシーンがある。主人公が決死の殴りこみの直前に、愛する女とのドロドロの濡れ場を繰り広げるのだ。ありきたりな展開ではあるが、当事者にとって死を覚悟した時のセックスは相当に盛り上がることだろう。
エロスとタナトスはよく馴染むといえば思い出すのだが、あなたはこんな話を聞いたことはないだろうか?
ある男がバーで見知らぬ女に声をかけられ、つい関係を持ってしまう。翌朝、男が目を覚ますと、すでに女の姿はない。ただ、洗面台の鏡に口紅で書かれた「エイズの世界にようこそ」というメッセージが残されていた。
死の恐怖を味わうことで、男は天国から地獄に急降下というわけである。もっとも、エイズの治療に関しては、この数十年で大きく変った。完治はできなくとも、薬によって発症を防ぐことができるようになった。
この「エイズの世界にようこそ」という話は、一般に「エイズ・メアリー」と呼ばれている都市伝説だ。男が女を誘惑する、男女が逆のバージョンもある。
あなたが聞いた話では、日本が舞台になっているかもしれないが、世界各国によく似た話があり、実はアメリカがルーツだと言われている。都市伝説のルーツを辿ると、実は欧米の話だったということは意外と多いのだ。
さて、「エイズ・メアリー」から派生したと思われる都市伝説がある。
ある男が行きずりの女性と関係を持ち、翌朝、目を覚ましたら女性の姿がないのは「エイズ・メアリー」と同じである。ただ、残されたメッセージは、「あなたも死者の仲間入り」というものであり、さらに、それを防ぐ唯一の方法が書いてあるのだが……。
今、明かせる情報はこれぐらいである。続きは追い追い語っていくとして、当事者たちの味わった恐怖の体験について書き進めて行こうと思う。
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